読書が好きな人でも、本がどのようにして作られているかは意外と知らないのではないだろうか。
出版社の編集者をはじめ、本の完成までには多くの人が携わっている。
本が1冊できるまでに一体どのような工程があるのか。
ここでは一般的な事例をもとに、本ができるまでの流れをおおまかにみていく。
企画から発売までの基本的な流れ
まずは本ができるまでの大まかな流れを見てみよう。
それぞれの言葉の意味や仕組みについては、このあとくわしく解説する。
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出版社が新刊の企画を立てる
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原稿完成後、本のレイアウトを決める
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印刷所に入稿、ゲラの完成
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校正作業を行う
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赤入れしたものを印刷所に再入稿
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問題なければ校了
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印刷・製本、そして書店へ
出版社の編集者が企画を立て、執筆者に原稿を依頼する
本が生まれる最初のキッカケは、何と言っても出版社の編集者だ。
いま読者はどんなテーマの本を求めているのか。
そして、どんな本を出せば売れるのか。
独自の目線を交えながら、編集者は日々新刊の企画のことを考えている。
出版社の社内体制にもよるが、多くの出版社の編集者には企画案のノルマが課されている。
そして、その企画案をもとに「年間で何タイトルの新刊を作ることができたか」というのが、一種のバロメーターとなる。
ただし、本ができるまでの過程では編集プロダクションが企画や原稿の作成、校正作業に関わることもある。
社内で通過した企画案は、ようやく制作の過程に入る。
本を作る上で重要なのは、言うまでもなく著者だ。
出版社の編集者は「自分が作ろうとしている本が書ける著者は誰か」を考える必要がある。
著名人へのインタビューによる出版の場合には、ライターを見つける。
取材の現場には編集者やライターが同行し、話を引き出しながら原稿の骨子を固めていくことも多い。
また、文芸書などは作家に依頼をして締め切りをきちんと守ってもらうなどのやり取りも欠かせない。
作家によっては執筆に数年をかけることもあり、編集者は根気強く進捗を確認しながら伴走することになる。
著者やライターをどれだけ知っているかも編集者には欠かせない能力・素質と言えるだろう。
著者が決まれば、お互いに連絡を取りながら必要な内容を詰めていく。
企画から原稿完成までは、内容や著者のスケジュールにもよるが、数ヶ月から長ければ1年以上かかることも珍しくない。
原稿の完成後、本のレイアウトを決める
著者やライターから上がってきた原稿をもとに、細かいレイアウトの作業に入る。
字詰め、表記、写真やイラストの発注、本の装丁などを決める。
何を伝えたい本なのかを考えながら、それにふさわしいレイアウトを決める必要がある。
この段階で活躍するのが、装丁デザイナーとDTPオペレーターだ。
装丁デザイナーは本の顔となる表紙をデザインし、書店で手に取ってもらえるかどうかを左右する重要な役割を担う。
一方、DTPオペレーターは文字組みやページレイアウトを専門のソフトで組み上げ、原稿を実際に読める誌面の形に整えていく。
装丁やイラストは外部のデザイナーに依頼することが多いので、ここでも編集者の”人を動かす力”が要求される。
自分が求める作品にふさわしい人に依頼をして、締め切りを守らせ、本をつくるのだ。
レイアウトの決定までにはおおよそ2週間から1ヶ月ほどを要するのが一般的である。
印刷所に入稿、ゲラの完成
入稿とは、原稿をもとに完成させた「仮の完成版」を印刷所に持ち込むことをいう。
念のため確認しておくと、「原稿」とはまだ何も手を入れていない状態の文字群のことだ。
入稿をすると、入稿データをもとに印刷所で印刷が行われる。
ここで刷られたものを”ゲラ”と呼び、このゲラをもとに校正作業が行われる。
入稿からゲラが上がってくるまでは、数日から1週間程度かかることが多い。
校正作業を行う
印刷所から上がってきたゲラ(初校)をもとに、内容に誤りがないかを確認する。
これを校正作業と言う。
基本的には原稿どおり、忠実に再現されているかを確認する作業のことを校正と呼ぶ。
もし誤植や言い間違いがあれば、指摘して修正するように編集者や著者に伝える。
単なる誤植を超えたチェック作業のことは、別に「校閲」と呼ぶこともある。
校閲では、誤字脱字だけでなく、事実関係の誤りや表現の矛盾、法律・権利関係の問題がないかまでチェックする。
歴史書やノンフィクションなどでは、この校閲作業に特に時間がかかることも多い。
校正作業はかなり専門的な知識と技術が求められるため、外部の校正会社に依頼することも少なくない。
校正者は「言葉のプロ」として、著者や編集者とは異なる目線で原稿を読み込み、間違いを見つけ出していく。
校正には1週間から数週間程度かかるのが一般的だ。
赤入れしたものを印刷所に再入稿
編集者、著者、校正者が赤字入れしたものを編集者が確認しながら、ひとつにまとめて印刷所に再入稿する。
もし再び上がってきたゲラに問題があれば、再校が行われる。
内容によっては三校、四校と重ねることもあり、その都度、印刷所との間でデータのやり取りが発生する。
上がってきたものに問題がなければ、そのまま校了となる。
一般的な書籍はおよそ3ヶ月ほどで1冊が完成するが、作品テーマや依頼する著者によっては数年もの歳月を要することも。
校了後、印刷・製本を経て書店へ
校了はゴールではなく、本が読者の手に届くまでにはまだ工程が残っている。
校了したデータは印刷所で本印刷にかけられ、大きな紙に何ページ分もまとめて刷られたのち、断裁・折り・綴じといった製本工程を経て、ようやく1冊の本の形になる。
この印刷・製本には、部数や本の仕様にもよるが、数日から1〜2週間ほどかかるのが一般的だ。
できあがった本は、取次(本の卸業者)を経由して全国の書店に配本される。
出版社が発売日を決めても、実際に書店に並ぶまでには輸送や店頭の準備期間が必要なため、校了から発売までさらに数週間を見込むことが多い。
まとめ
本ができるまでには、編集者を中心に、著者やライター、装丁デザイナー、DTPオペレーター、校正者、印刷所や取次のスタッフなど、実にさまざまな人が関わっている。
普段何気なく手に取っている1冊の本も、こうした多くの人の手と時間を経て、ようやく僕たちのもとに届いている。
次に本を読むときは、ページの向こうにいる大勢の作り手たちの存在を、少し思い出してみてほしい。

