僕はアメリカの文化(食、音楽、映画)が好きで、それを直接感じたいから英語を勉強している部分があります。
文化だけでなく、アメリカの歴史とか政治もストーリーがあって面白いんですよね。
純粋にアメリカを勉強するのが楽しいので、今回読んだラダーシリーズの1冊 “Enjoy Your Visit アメリカに行こう” はドンピシャの内容でした。
というわけで、本書の内容と使われている英語についてレビューしていきます。
アメリカのリアルな暮らしを細かく解説
この本は「アメリカの暮らしを知りたい」「アメリカと日本で、文化はどう違うの?」という興味を持つ人にピッタリの1冊です。
まずはアメリカがどういう国なのかという基本的な説明に始まり、そこから日常生活におけるアメリカという国の特徴が細かく解説されています。
著者の黒田基子さんはニューヨークに15年以上(刊行当時)住んでいることから、書かれている情報が非常にリアルです。
また、アメリカ人が書いたアメリカの特徴とは違って「日本とはどう違うか?」という比較にも言及しているので、日本人にとって大いに参考になります。
この手の本はただの情報の列挙になりがちですが、本書は時折ジョークなども交えて書かれており、著者の人柄も感じられるので読んでて飽きません。
刊行が2005年なので情報が少し古い部分もありますが、それを差し引いても十分に読み応えのある1冊です。
今後、アメリカに旅行したい人、移住したい人、そして単純に興味がある人にもおすすめの1冊です。
「アメリカという国」で1つにはくくれない
この本を読んで最初に感じたのは、「アメリカを1つにカテゴライズするのは不可能」ということです。
アメリカ合衆国という国名からもわかるとおり、アメリカは計50の州から成り立っています。
日本と比較したときに【アメリカの州 = 日本の県】と考えがちですが、実際はまったく異なります。
もはや、各州それぞれが違う国として機能していると考えるべきです。
Unlike the Japanese prefecture, a state works almost like a separate country.
1番わかりやすいのは法律です。アメリカは州ごとに法律も違うため、ある州では合法でも、他の州に行くと違法ということがふつうに起こります。
たとえば、運転免許証が取れる年齢でいうと、州によって16歳だったり18歳だったりします。カンザス州やアイダホ州にいたっては、14歳から試乗訓練が可能です。
このことからも、日本の県とはまったく異なることがわかると思います。
文化も天候も州によって違う
法律が違えば、文化形成も変わってきます。さらにいうと、天候も州によってかなり差があります。
ですから「アメリカのライフスタイル」として紹介されているものも、実際には特定のエリアにしか当てはまらないことが往々にしてあるということです。
You may hear or read about 〝the American lifestyle〟 on TV and magazines in Japan. Do not take what you hear as general information. It is likely to just be true for one certain area. Just because you hear or read that 〝it’s very popular in America,〟doesn’t mean that it is popular. It’s more likely to only be true for a very small group of people in one area.
日本は国土も小さいですし、どの地域に行っても国民性に大きな差はありませんので「日本で人気」とカテゴライズすることは(アメリカに比べれば)まだ可能でしょう。
海外の実情を見るときに、僕たちはつい「日本は○○だから、アメリカでも○○でしょ」とか「日本で置き換えると…」という思考になりがちです。
もちろん比較することは大切ですが、あまり短絡的に比較すると、決定的に間違った認識をしてしまうこともあるので注意が必要です。
「海外を見る目」を養えるのも、本書の魅力といえるかもしれません。
「返品大国アメリカ」の衝撃
Amazonで買い物をしたことがある人は多いと思いますが、Amazonの返品に対する寛容さって本当に凄いんですよね。
商品によっては「返品無料」という条件で販売されているものもあるので、「自宅で試して不要ならタダで返品」ということが普通にできちゃいます。
もちろん返品条件はありますが、他のお店やネット通販に比べると、Amazonの返品しやすさは群を抜いています。
Amazonがここまで返品に理解を示しているのは、アメリカの”返品文化”によるところが大きく、「アメリカの国民性によってAmazonは鍛えられた」と表現することができるかもしれません。
僕がこの本を読んで「アメリカってマジで返品大国だな」と感じたのが以下の文です。
The days after Christmas are known as the busiest week for returns because people return Christmas presents. Most Americans are quick to return gifts if they do not like them. Although many stores accept returns without receipts, …
ひとことでいえば、アメリカ人は「贈り物も平気で返品する」ということです。
日本人からすると「せっかくあげたものを返品するなんて…」という気分ですが、アメリカ人からすれば当然みたいです。
それどころか、プレゼントをあげる側も返品できるように返品用レシートなるものまで存在します。
贈り物をする場合も、贈られた相手が簡単に返品できるように「渡す相手用のレシート(gift receipts)」まで用意されている。
日本人と価値観がいかに違うか、返品に対する意識からも大いに読み取れますよね。
むずかしい単語はあるが、読みやすい
この本はラダーシリーズなので、読みやすい英語で書かれた洋書(厳密には和書)に仕上がっています。
シリーズはレベル1〜5まで分かれていますが、本書の英語レベルは4です。
※表は横スクロールできます
レベル1 | レベル2 | レベル3 | レベル4 | レベル5 | |
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使用語彙数 | 1000語 | 1300語 | 1600語 | 2000語 | 制限なし |
TOEICスコア | 300〜400点 | 400〜500点 | 500〜600点 | 600〜700点 | 700点以上 |
英検 | 4級 | 3級 | 準2級 | 2級 | 準1級 |
iTEP | 0.0〜1.0 | 10〜2.0 | 2.0〜3.0 | 3.0〜4.0 | 4.0以上 |
表紙例 |
たしかにむずかしい単語はあるものの、全体的に読みやすく書かれていると思います。僕はだいたい3時間くらいで最後まで読み終えることができました。
僕がむずかしいと感じた(理解できなかった)英単語の一例は以下のとおりです。
- ・eclectic
- ・sublet
- ・choosy
- ・nanny
- ・condiment
- ・landlords
アメリカの紹介ともなると、文化や地名といった固有名詞が多く出てくるので、そこで詰まることが多くなるかもしれません。
ただ、本書は章のはじめにワードリストが載っていて、読み始める前に使われている単語をチェックできる親切設計です。巻末には本全体で使われている英単語の訳も載っています。
ちなみに、僕はKindleの辞書機能を活用しながら読みました。わからない英単語をタップするだけですぐに意味を確認できるので洋書リーディングがはかどります。