よく名前のあがる歴代アメリカ大統領はたくさんいますが、その筆頭とも言えるのが、初代大統領ジョージ・ワシントンではないでしょうか。
アメリカの首都であるワシントンDCの由来にもなっており、ホワイトハウスを建てた(建設に関わった)人物としても知られています。
「名前は知ってるけど、それ以外はよく知らない」という人も多いと思うので、くわしくレビューしていきます。
英単語も文法もやさしめで、内容も非常に面白かったです。
ワシントンへの信頼感&人望の厚さがよくわかる
ジョージ・ワシントンは、1789年にアメリカの初代大統領になりました。
当時、アメリカはイギリスの植民地として支配されていましたが、重い税金に耐えかねたアメリカ人たちが反旗を翻し、イギリスと戦争を起こします。
そこでアメリカ軍を率いて戦ったのが、ワシントンです。無事、イギリスに勝利したアメリカ軍は自分たちの国を建国します。そこで宣言されたのが有名な「アメリカ独立宣言」です。
という感じで、この本ではワシントンの生い立ちから始まり、どのようにアメリカの独立戦争が起こり、そしてワシントンが大統領に就任したのかがわかりやすく書かれています。
歴史の勉強として読むのも面白いのですが、個人的にはワシントンが国民や仲間からいかに支持されていたかがよくわかって興味深かったです。
支持されていたと同時に、ワシントンが信頼できる人物であることがよくわかる文があります。
Many People wanted George to be president a third time.
But George didn’t want future presidents to act like kings, or to stay in office too long.
He believed it was very important for each president to hand over power peacefully to the next president.
ざっくり和訳しますと「国民はワシントンに3期目の就任を希望していたけど、彼は大統領が王様のように振る舞うのは良くないし、長すぎる任期は良くないと思っていた」ということです。そして「次の大統領に権限を移譲したほうがいい」と考えていました。
ふつうであれば、少しでも長く権力を保持して自分の思うままに国を操りたいと思うはずです。
しかし、ワシントンは将来のアメリカのことを考えて、2期(計8年間)という任期で大統領を辞任しています。
自分のことよりも国のことを考えるという姿勢が、多くの国民に支持されていたことは容易に想像できますね。
一説には「歯がなくなって、演説できないから引退した」というエピソードもあるようですが…。
(ワシントンは、生涯にわたって歯の問題に悩まされていました。最終的には、下の歯1本しかなかったようです)
ワシントンは経営者としても優秀だった
ワシントンは、大統領になる前は黒人奴隷を使って農園を営んでいました。それもただの農園ではなく、かなり規模の大きな経営をしていたようです。
それがよくわかる文があります。
He had enslaved people build more rooms onto his house, making it a mansion.
There was now a blacksmith’s shop where slaves made tools, and a carpentry shop where slaves made boxes, boats, and furniture.
There was a factory where slaves prepared fish to be sold.
There was the flour mill, and the whiskey-making building.
George owned all of it, including the people, who were given two sets of clothes per year and just enough food to keep them healthy enough to work.
彼は奴隷の人たちにマンションを作らせます。そこに道具を作る鍛冶屋があったり、箱やボートや家具を作る職人がいました。
また、製粉機(flour mill)があったり、ウィスキーを作るための建物もあったようです。
このように、彼はビジネスパーソンとしても非常に優秀で、かなり手広くやっていたことがわかります。
ちなみに、今の僕たちの感覚からすると「黒人奴隷なんてひどいな」と思うかもしれません。
ただ、ワシントンは大統領を辞任したあとに考えを大きく変え、黒人奴隷をみずから解放することも行っています。
His feelings about slavery were different than before the war.
Now George believed slavery was wrong. He also believed it would divide the country someday.
In his will, George gave instructions for the 124 enslaved people he owned to be freed.
ワシントンがアメリカの基盤を作った
この本を読んで思ったのは「初代大統領がワシントンじゃなかったら、アメリカはここまで発展してないのではないか」ということです。
これは国に限らず、会社でも同じことが言えると思います。初代の人間が基礎をしっかり作らないと、次の代になっても簡単に崩壊してしまいます。
さきほど触れたように、ワシントンは現在のアメリカだけでなく、将来のことまで考えていました。
実際、奴隷制が国を分断するということから、最終的には奴隷制にも反対の姿勢をとっていたわけですからね(”He also believed it would divide the country someday.”【 ※ここでの it は slavery(奴隷制) を指す】)。
この本は歴史的な事実をわかりやすい英語で解説してくれているので、非常に読みやすかったです。
ちなみに、この本はKindle Unlimitedの対象です(本記事執筆時点)。読み放題なので、ワシントンの人柄とアメリカ建国の背景について知りたい人は、ぜひ読んでみてください。おすすめです。