こういうのを待ってた。『科学的根拠に基づく最高の勉強法』を読んだ感想【レビュー】

こういうのを待ってた。『科学的根拠に基づく最高の勉強法』を読んだ感想【レビュー】

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今までずっと我流で勉強してきたけど、「もっと良いやり方があるのでは?」と思うようになった。

そこで出会ったのが『科学的根拠に基づく最高の勉強法』という1冊。

”科学的”という言葉に弱い僕にとって、本書はズバリ刺さる内容の宝庫でした。くわしくレビューしていきます。

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このブログを書いている人
あゆむ

英語学習者、書評家、文具好き。書店員→出版社→フリーランス10年目。TOEIC450→830。英検1級の勉強中。

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ざっくり、どんな内容?

私たちが今まで慣れ親しんだ、繰り返し読む(再読)、ノートに書き写す・まとめる、ハイライトや下線を引く、といった学習法は、実は身につきにくいやり方だった。
覚えたことを思い出す、人に教えられる=アウトプットこそが成長につながる、研究によって検証された効率的な勉強法です。

この本の構成としては、まず最初に「効果が高くない勉強法」をいくつか紹介して、そのあとに「効果が高い勉強法」が紹介されています。

今まで当たり前のようにやっていた勉強法が、じつは「え、コレって効果イマイチなの?」と気付かされることが多いので、面食らうかもしれません。

「繰り返し読む」のは効果が低い

普通の再読に、学習効果があまりないと考えられる1つの理由としては、同じ文章を2回目に読む時のほうが文章に慣れすらすら読め「わかった気になってしまう」ため、さらに理解を深めたり、覚えたりするといった深い情報処理が新しく行われにくいことが考えられます。

「わかった気になってしまう」というのは体感としてもよくわかるんですよね。

僕の場合、英語の勉強で1つの教材を何度も音読することが多々あります。

そのとき、同じ英文を何度も(30回とか)読むわけなのですが、何度も繰り返し読んでいると「もうこれだけ読んでるし、文法も内容もさすがに理解しただろう」って思っちゃうんですよね。

でも、実際に深堀りして読んでみると「この英語フレーズ全然わかってないかも」みたいなことってじつは多かったりします。

もちろん、繰り返し読むことが悪いことではないし、効果がゼロというわけではありませんが、科学的には「効果は高くない」という研究結果が出ているので、それを進んで選ぶ利点はないと思います。

「線を引く」のは効果が低い

ハイライトをより効果的に行う知識を学習者が持っている場合や、文章が難しい場合には役に立つかもしれないが、推論を必要とする、より高度な課題では、かえってパフォーマンスを低下させる可能性がある。

これも意外すぎるというか、誰もがやっている作業じゃないでしょうか。

本を読んで、重要だと思ったところに線を引く。これが効果が低いと言われる原因はいろいろあるみたいだけど、1つは「やった気になってしまう」というのが大きいらしい。

これは体感的にも納得できる人が多いと思うし、僕にも自覚がある。

線を引くと「ちゃんと勉強してる感」が醸成されていって、無意識のうちに覚えた感覚に陥ってしまっているのかもしれない。

実際には全然覚えられてない可能性があることを考えると、線を引くことに対して慎重になったほうが良さそう。

ちなみに、「あとで見返すこと」を前提して線を引くのは問題ないとのこと。著者もそれについては肯定している。

僕も読書のときはインスタやブログで引用するときのため、線を引きまくっているので、そこは一安心。

「ノートに書く」のは効果が低い

書かれた文章をそのまま書き写す作業は、文章を刻したり理解したりしなくてもできるうえ、脳で負荷のかかる処理がほとんど行われないため、学習効果が低いと考えられます。

これも衝撃というか、学生時代から長年やってきたノートは一体なんだったのか?!という思いになったり。

でも、冷静に考えると納得できる部分もある。真っ先に思い浮かぶのは、授業中に何も考えずに先生が黒板に書いたことをノートに写す作業。あれが脳に負荷がかかっているとは思えないし、学習効果があるとは思えない。

ただ、もちろんノートに書くことすべてがNGというわけではなくて、脳に負荷がかかるやり方なら効果はあるらしい。

昔、アメトークで「勉強大好き芸人」みたいなのをやってたんだけど、【勉強が苦手な芸人・得意な芸人で授業中のノートの取り方を比較してみよう】みたいな企画をやってたんですね。

そこで、勉強が苦手な芸人は黒板の内容を丸写しで、しかも色ペンを多用(色が多すぎてどこが大事が逆にわかりにくい状態)。

一方、勉強が得意な芸人は黒板の内容を写すのではなく、先生の話を聞いて重要なポイントを考えながら工夫してノートを取っていた。

これってまさに「自分の頭で考える」という作業が発生していて、こういうノートの取り方は記憶の定着に大きく役立つんだと思う。

「思い出す」のは効果が高い

まず、学ぶために決定的に重要なのが「アクティブリコール(Active recall)」です。なんだか難しい言葉ですが、簡単に言えばアクティブリコールとは「勉強したことや覚えたいことを、能動的に思い出すこと、記憶から引き出すこと」です。

んで、結局どんな勉強法が効果あるの?という話だけど、これは「思い出す作業」が大事らしい。

それがまさにアクティブリコール(Active recall)で、文字通り「積極的に思い出すこと」が勉強法としては効果が高い。

著者がおすすめしているのは【本や教科書を読んで内容を覚える→何も見ずに白紙に覚えた内容を書き出してみる】というもの。

たとえば英単語帳なら【1ページ分の単語を読んで覚える→何も見ないで白紙に見出し語と意味を書き出す】という感じ。

実際にやってみるとわかるけど、何も手がかりなしで(自分の記憶だけで)思い出そうとするのってめっちゃ負荷がかかるんですよね。

正直、シンドいからやりたくないレベルなんだけど、こういう負荷のかけかたをすることが勉強法としては科学的に正しいみたい。

アクティブリコールに加えて(というか組み合わせて)やると最高なのが、次に紹介する「分散学習」というもの。

「分散学習」は効果が高い

一度にまとめて勉強するよりも、時間をあけて「繰り返し学習する」ということです。繰り返し、その情報を入力・取り出すことで、「これは必要な情報だよ」と脳に伝えるイメージです。

良い勉強法をひとことで言うならば「脳に大事なことを教えること(刷り込むこと)」。

これを実現するのが、まさに「分散学習」というわけ。

たとえば、単語帳1ページを1時間繰り返しやるより、10分×6日間やったほうが効果は高い(厳密にはもう少し感覚をあけたほうがいい)。

勉強しようと思うと、ついつい詰め込みすぎてしまうけど、それよりも分散させるのが良い。

勉強法として効果を高めるには、短期記憶ではなく長期記憶を高めることで、そのためにも分散学習は大事。

テスト前日に一夜漬けでやった内容を速攻で忘れてしまうのは、まさしく短期記憶だから。

もし一夜漬けでやった内容を、分散学習の適切なインターバル(間隔)で勉強するならば、それは立派な長期記憶になりうる。

結局、脳に負荷をかけるのが最高の勉強法

補足として「再読」や「ノートに書く」というのは、比較的効果が低いだけであって、無意味ではないので要注意。

とはいえ、学校でずっとやってきたやり方が科学的に否定されている部分があるのは恐ろしい。

この本で強調されているのは「能動的に思い出す勉強を、分散学習でやること」。

勉強でしんどいと感じるときほど、脳に負荷がかかっている(記憶に定着しやすい)ということがわかった。

しんどい勉強ほど価値がある。このメンタル大事。

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