TOEICに対して疑いの目を持つ人は少なくありません。僕自身もかつては「TOEICなんていらないでしょ…」と思ってる人間でした。
しかし、実際にTOEICの勉強をして受験をしてみると、予想以上に良いものだったのです。
というわけで今回は「TOEICいらない派」の人から想定されそうな意見に反論するかたちで、TOEICの良いところをプレゼンさせていただきます。
「TOEICは”試験英語”だから役に立たない…」
TOEICいらない派のひとつめの意見が「TOEICは実生活で役に立たない」というもの。つまり、TOEICは試験用に作られたものであり、実際のビジネス英会話では使い物にならないという意見です。
たしかに、TOEIC対策の中には「これはさすがに役に立たないでしょ…」というものがあります。
たとえば、Part1の写真描写問題がいい例です。写真を見てその内容を答える問題なのですが、「女性が植物に水を上げています」とか「食器がテーブルに並べられています」とか「通りに立っている木が影を落としています」とか。
「それを覚えたところで…」と思う問題もあるのは事実なんですよね。
でも、役に立たない英語が出てくるのはごく一部に過ぎません。それ以外の問題に関しては、ビジネスの現場でもそのまま使える表現がたくさん出てきます。
外資系の会社に勤める友だちが言っていましたが、TOEICで学んだ単語とかフレーズはマジで役に立っているそうです。
僕は仕事で英語を使うわけではないのですが、ビジネス洋書を読んだり、海外のニュースを聴いたり、政治経済の英文記事を読むときに「これTOEICで勉強したやつだ…」という瞬間が頻発します。
TOEICの一部を見て「役に立たない」と切り捨てるのではなく、ぜひTOEIC全体を勉強してみてその意義を体感してみてほしいです。

「TOEICスコアがなくても就職はできるし…」
当たり前ですが、TOEICスコアを取らなくてもどこかしらには就職できます。というより、TOEICスコアを採用条件にしている企業のほうがまだまだ少数はでしょう。
結局のところ「自分はどの方向性を目指すか?」というのがTOEICの要・不要を決めます。
「外資系でバリバリ働きたい」「少しでも高給な企業に入りたい」「将来の転職の選択肢を増やしておきたい」という人にとって、TOEICは非常にコスパの良い試験です。
一方、「日本の企業でゆっくりマイペースに稼げればOK」「別に英語を使って仕事をしたいとは思わない」という人にとって、TOEICはいらないでしょう。
ただ漠然と「TOEICなんて無意味」と決めつけるよりも「自分にとって必要かどうか?」と考えるほうが生産的です。
見方を変えると、TOEICの要・不要を考えることが、自分のキャリアを考える良いキッカケにもなると思います。

「TOEICは受験料が高すぎる…」
TOEICの受験料は1回につき7,810円(税込)なので、決して安くありません。というか、かなり高いですよね。
この金額を見て「そんなお金を出す価値があるとは思えない」と考えるのも無理はないかもしれません。
しかし、少し広い視野で見てみると7,810円(税込)という投資はかなり大きなリターンをもたらす可能性を秘めています。
たとえば、TOEICを受験して600点だったとします。TOEIC600点を採用基準(最低ライン)にしている企業はかなり多いので、そこに転職することで給与UPが実現する可能性も。
転職をして7,810円(税込)(TOEIC1回分の受験料)しか給与が上がらないということはほぼありえません。むしろ、毎月5〜10万円といった単位で給料が上がる可能性のほうが大きいでしょう。
ちょっと回りくどい説明になってしまいましたが、受験料7,810円(税込)という投資が何倍にもなって返ってくる可能性があるのがTOEICなのです。
そう考えると、TOEICを無下にするのはもったいないと感じませんか?

「脱・TOEICしてる会社も多いからTOEICはいらない」
じつをいうと、近年は採用や昇進の基準にTOEICを採用せず、他の試験や指標を用いる企業が増えています。
たとえば、フリマアプリで有名なメルカリは、求人募集における英語力の基準をTOEICから国際的な指標である「CEFR(セファール)」に変更したり、独自開発したスピ―キングテストを導入して会話レベルを判定したりしています。
こういう話を目の当たりにすると「やっぱりTOEICいらないわ」「TOEICもオワコンだな」と思いがちですが、これは1つの側面にすぎません。
TOEICを運営するIIBCの調査(2019年)によれば、企業が考える【今後のビジネスパーソンにとって重要なスキル】として「英語」という回答が82.6%と最多になっています。
また、【社員に不足しているスキルは何か?】という質問に対しても「英語」と答える企業が67.0%と最多となりました。
つまり、多くの企業にとって「英語ができる人材は喉から手が出るほど欲しい」という状況なのです。
そのため、英語力を図る試験としてTOEICは今でも圧倒的に多くの企業で採用基準として使われています。
ただし、「TOEICスコアが高くても英語が話せるようになるわけではない」というのは厳然たる事実です。

「TOEICを勉強しても英語を話せるようにならない」
TOEICスコアが900点を超えていても英語を話せない人はザラにいます。その最大の理由は、TOEIC(L&R)はスピーキングを測定する試験ではないからです。
TOEICにはリスニングとリーディング(L&R)と、スピーキングとライティング(S&W)の試験に分かれています。一般的にTOEICというとL&Rを指し、採用基準などでもL&Rが使われてることのほうが多いです。
そのせいもあって「TOEICスコアは高いのに、英会話できない人が多すぎる」という事態に直面してきた人は、TOEICなんていらないと考えるのも無理はないでしょう。
ただ、英会話には話す能力だけでなく、聞く能力も求められます。さらに、英単語や文法といったスキルも必要です。
ですから、TOEIC(L&R)の勉強が英会話にも良い影響を与えるのは間違いありません。
特に、TOEICはビジネス英語に特化した試験なので、会議や商談などで使うビジネス英語の単語・フレーズなどを覚えられるという意味で、TOEICの価値は決して小さくありません。

「TOEICよりも英検のほうがいいでしょ」
英検は聞く、読む、話す、書くの4技能を測定する試験です。そのため、リスニングとリーディングを測るだけでのTOEIC L&Rよりも範囲が広いため、総合的な英語力の向上を期待できます。
正直、これに関しては僕も反論はできない部分がありまして、単純に英語の総合力を伸ばしたいのであればTOEICよりも英検のほうが良いです。
じゃあTOEICはいらないのか?というとそんなことはありません。
というのも、英検はビジネス英語をみっちりやるというよりも、幅広い英語を鍛えるからです。要するに、仕事で使う英語としては物足りない場合があるということ。
事実、多くの企業では英検を採用基準にはしておらず、たいていがTOEICです。それは、TOEICがビジネス英語に特化した試験だからにほかなりません。
そのため、仕事で使う英語を身につけたいのであれば、英検よりもTOEICがおすすめ。
一方で、純粋に英語力をUPさせたいのであれば、TOEICよりも英検のほうがおすすめです。
目的に合わせて選ぶのがベストだと思います。
