正直、TOEICを始めたばかりのころは「文法問題(Part5)なんて、だいたい感覚で解けばスコア取れるでしょ」とナメていました。
しかし、そんなんでPart5は攻略できるほど甘くありません。問題を解くと、不正解の連続で激萎えしました。
「このままじゃスコア900点なんて取れるわけない!」と一念発起し、出会った1冊が『TOEIC文法問題でる1000』(通称、でる1000)です。
今回は僕が惚れ込んでいる「でる1000」を1ヶ月間やり込んだ感想と、本書の良し悪しを本音でレビューしていきます。
ちなみに、本書の対象者は【高校基礎レベルの文法や基本単語を理解できている人】で、目安としてはTOEIC L&Rのスコアが500点以上の人です。
このレベルに達してない人は本書の解説を読んでも理解できない場合があり、挫折する可能性があります(僕は過去に挫折経験あり)。基礎に不安がある人は、本書の前に基礎固めをしたほうがいいです。
「でる1000」の良し悪しを列挙してみた
- 「でる1000」の良いところ・残念なところ
- ◯ 左ページに問題、右ページに解説で使いやすい
- ◯ 解説が簡潔でわかりやすい
- ◯ 単語の説明も最低限ながら用意されてる
- ◯ 問題量が多いので”感覚英語”を鍛えられる
- ◯ Part5だけでなく、Part6の対策にもなる
- △ 問題量が多すぎて、挫折する人もいるかも
- △ 全600ページ超で重く、持ち歩きは大変
- △ Part5の文法問題に特化しているので他の対策も必要
僕が実際に使ってみた感想はこんな感じです。正直、マイナスポイントはないに等しく、強いてあげるなら「ボリュームが多すぎることに起因するデメリット」ぐらいしかありません。
というわけで、1つずつくわしく説明していきます。
◯ 左ページに問題、右ページに解説で使いやすい
僕が本書で勉強するうえで最も気に入っているポイントが「レイアウトの良さ」です。
でる1000は左ページに問題、右ページに解説という構成になっています。
そのため、問題を解いてすぐに解答と解説を確認できるので非常に効率的です。
多くのテキストでは問題集と解説集が別々になっています。たしかに別冊のメリットもありますが、僕は1冊で完結できたほうがスッキリしていて好きです。
また、問題を解いて、記憶が新鮮なうちに解答と解説をチェックできるので、知識の定着率も上がると思います(一気に問題を解いて、そのあと解答をチェックするやり方だと時間が経っているので「これどんな問題だっけ?」と忘れやすい)。
問題を解く→すぐ確認するというスピーディな勉強ができるので、僕はでる1000がとても好きです。
◯ 解説が簡潔でわかりやすい
でる1000は1000題を超える問題を1冊に収録しているため、解説に使える紙幅も限られています。そのため、解説も非常に簡潔です。
簡潔と聞くと「解説が物足りなくて心配」という声もあると思いますし、じつは僕も最初はそれを心配していました。
しかし、実際に使ってみた感想は「必要十分」。問題に対して浮かんだ疑問は、軒並み解説を読めば解決するので本当にすごいなーと思います。
あと、間違い選択肢がなぜダメなのか?という解説があるのも心強いです。自分が誤答したときに、なぜそれが間違っているのかが理解できます。
ただ、もちろん問題によっては「ここもう少し詳しい解説が欲しいな」と思うところはあります。そのあたりは、自分の基礎知識が欠けている場合が多いので、ネットで検索したり、文法書を参照するようにしてます。
◯ 単語の説明も最低限ながら用意されてる
「でる1000」は文法対策の本ではありますが、むずかしい英単語については意味が載っているので辞書を引く手間が省けます。
また、知っているつもりの単語でも「TOEICならではの使われ方」をすることがあるので、そういった単語の勉強にもなります。
たとえば、specifications(仕様書)や acknowledgement(受領通知)といった単語はTOEICならではですが、こうした単語はきちんと訳注が付いているので勉強がはかどります。
ただ、あくまでも最低限の単語しか意味が載ってないので、基礎単語が身についてない人はわからない単語が多く感じるかもしれません。
さきほど説明したとおり、基礎的な英語力がないとむずかしい場合があるので、不安がある人はあらかじめ中身(難易度)をチェックしてから購入することをおすすめします。
◯ 問題量が多いので”感覚英語”を鍛えられる
でる1000という名前のとおり、本書には1000問を超える問題(1049問)が掲載されています。
「そんなに問題量いる?」と思う人もいるでしょう。僕はそう思ってました。
でも、いざやってみると「これだけ豊富な問題量は絶対に必要だな」と痛感。なぜなら、同じタイプの問題を何度も反復することで、知識で覚えていた英語を感覚的に理解できるようになるからです。
たとえばTOEICのPart5で「この問題は文の要素を満たしていて、すでに完結しているから空所に入るのは再帰代名詞のthemselvesだな」みたいな思考回路を追っているのは知識英語の段階です。
しかし、この手の同じ問題を繰り返し解いていると、そこまで頭でキッチリ考えずとも感覚的に解答ができるようになります。僕たちが日本語を自然と使っているのに近い感覚になってくるのです。
英文法の本を読んでもすぐに使いこなせないのはまさにソレで、知識英語が感覚英語に昇華できてないから。でる1000問を反復することで【知識英語→感覚英語】というプロセスを体感できるので、TOEICのみならず英会話などにも良い効果が出てきます。
◯ Part5だけでなく、Part6の対策にもなる
TOEICのPart6は長文穴埋め問題です。上記のように、長文の一部が虫食いになっており、それぞれ選択肢の中から正しい単語や文を選びます。
長文だから特別な対策が必要そうに思えますが、じつは「でる1000」で勉強することでPart6の対策にもなります。
すでにお気づきの人もいると思いますが、じつはPart6の問題ってPart5の文が連なっているだけなんですよね。
もちろん、厳密にはPart6は長文なので前後関係を読む必要があったりしますが、Part5のノリで解いてもけっこう通用する部分があります。
「わざわざPart5だけのためにでる1000買うのはヤダ」という人も、この事実を知ることで大きく考えが変わるはず。
もっというと、でる1000で勉強することは、Part6のみならずPart7やリスニングにも良い効果があります。なぜなら、でる1000で学んだ英文法の知識は、英語すべてにおいて役立つものだからです。
実際、僕はでる1000で勉強したおかげで文法問題に強くなっただけでなく、長文を読むのも速くなったし、リスニングも聞き取りが得意になりました。
でる1000の短文を野球のノックのようにひたすら解き続けるのは、想像以上に得られるものが多いということです。
なお、でる1000は問題文(正解を挿入したもの)の読み上げ音声を無料でダウンロードできます。これを使えば、リスニング力UPも期待できるでしょう。
△ 問題量が多すぎて、挫折する人もいるかも
ここからは、でる1000のマイナスポイントです。
1つ目は「問題数が多いから挫折する人がいそう」ということ。というか、僕自身が過去に挫折経験があります。
以前この本を手に取ったときは、TOEICスコアが600点くらいのときだったはず。本書は500点以上の人を対象にしているわけですが、それでもダメでした。
なにが原因で挫折したのかというと、1問を解くのにかかる時間が長く、解いても解いても終わりが見えなかったから。「こんなの1000問もできるわけねーー!!」となり、挫折しました。
こういった経緯があるので、誰にでも手放しで本書をおすすめできません。やはり、TOEIC500点レベルの英語力は絶対に必要だと思います。
TOEIC受けたことがない人は、ひとまず本屋とかで立ち読みをしてみて、自分の英語レベルに合っているか確認してから買ったほうがいいです。絶対に。
△ 全600ページ超で重く、持ち歩きは大変
カフェや図書館などの外出先で勉強をする人の場合、本書の重さはデメリットになると思います。
総ページ数は600を超えるので、非常に分厚いですし、重いです。計ってみたら678gもありました。
社会人が通勤電車でTOEICの勉強をするのは定番だと思いますが、この本を持って立ち読みするのはやめたほうが良いと思います。腱鞘炎になりそう。
自宅のデスクでかっちり勉強する人には関係のない話です。僕は外に持ち出すことがないので、重さは気になりません。
△ Part5の文法問題特化なので他の対策も必要
でる1000はPart5の対策本なので、当然他の対策教材も必要になります。
さきほど「でる1000で他のPart対策にもなる」と説明しましたが、あくまでも副次的な効果があるにすぎません。やっぱり、それぞれのPartの問題形式に慣れるという意味でも、スタディサプリENGLISHや公式問題集での対策は必須になると思います。
「TOEIC対策は極力少ない教材で済ませたい!」という人は、でる1000などの本は使わずにスタディサプリENGLISHのTOEIC対策コースを使うのがベストです。