「重版出来」の読み方とは?意外と知らない意味と業界のウラ事情

電車や新聞で本の宣伝をするときの表現っていろいろありますが、広告でよく使われるフレーズの中に「重版出来!」という言葉があります。

2016年4月放映のTBSドラマ「重版出来!」(原作:松田 奈緒子、出演:黒木華、オダギリジョーほか)が指しているのは、まさにこの言葉。

さて、この「重版出来」にはどんな意味があるのでしょうか?

読み方、そして意外と知られていない出版業界のウラ事情について解説します。

  • 10秒でわかる!"超節約"できる聴き・読み放題
  • ① 小説・ビジネス書・洋書など12万以上の作品が聴き放題 → Audible
  • ② 洋書や英語参考書など200万冊以上が読み放題 → Kindle Unlimited
  • ③ 洋雑誌など1,200誌以上が読み放題で業界最安。楽天ポイントも → 楽天マガジン
  • ※ すべて1ヶ月間無料で体験ができます
この記事を書いた人
あゆむ

書店員 → 出版社 → 自営業|30代|英語学習と読書についてブログを書いてます|ブログの累計読者は400万人を突破|Versant 44。TOEIC900点超えを目指して勉強中|LINEで友だち追加すると更新通知を受け取れます

あゆむをフォローする

重版している本が本当に売れているとは限らない?

本が流通する仕組み

「重版出来」を素直に読んだら、「じゅうはんでき」です。ニュアンスとしては「重版するくらいの出来!」という感じでしょうか。

この「重版出来」、正しい読み方は「じゅうはんしゅったい」になります。

まず「重版」という言葉の意味ですが、これは印刷を何回もすることを指します。よく売れている本が売り切れてしまったときに、もう一度本を印刷することになるわけですが、これを「重版」というわけですね。

「出来(しゅったい)」は物事が出来上がることを指す日本語です。

その2つを組み合わせて「重版出来」となるわけです。

ちなみに、新刊を発売する時には最初から一定の部数を印刷します。その時、最初に印刷されたものを「初版」といいます。

出版業界では初版でだいたい5,000〜7,000部、よくても8,000部ぐらいです。売れそうな本は初版で1万部以上刷られることもあります(作品や出版社の規模によってはもっと少ない場合もあるし、多い場合もある)。

「初版」で印刷したものが全部売れてしまったら「重版」する必要があります。この時に打たれる広告が「重版出来!」なんですね。

重版する本はごく限られた作品だけです。なぜなら、売れない本が重版になることは基本的にないからです。

そのため、「重版するくらい売れてるよ!」という意味を込めて、出版社は広告や宣伝のときに【重版出来!】という文言を載せることがあるわけです。

意外と知らない重版出来のカラクリとは?

洋書リーディング

一見するとこの「重版出来!」はすごく売れている本のように思えます。もちろん、実際に売れているから重版をする場合もありますが、なかには”見せかけ”の重版出来があることは意外と知られていません。

じつは初版をあえて少なくして、重版に持っていくケースがあるからです。なぜこんなことをするかといえば、「重版出来!」と言うことで売れている本という印象を与えることができるからです。

重版ありきで初版を抑える。広告でよく見かける「重版出来!」という言葉にはこんなカラクリが隠されている場合もあります。

ただ、初版を少なくするということは、下手すると在庫が足らずに売り損ねる場合もあるので、非常に稀です。たいていの本は、実売部数(実際に売れそうな冊数)を予測して、それに合う数だけ初版で刷ります。

知っておきたい【発行部数】と【実売部数】のちがいとは?
本の広告には様々なものがありますが、特に見られる広告が『〇〇万部突破!』という広告ですよね。この、部数はいったい何を基準にしているのでしょうか?「発行部数」と「実売部数」についてくわしく解説していきます。「発行部数」は実際に売れた本の数では...

「〇万部突破!」という宣伝文句にもカラクリが?

ベストセラー倒産

また、「〇万部突破!」という広告を見かけることもあるかと思いますが、あの数字にもカラクリがあります。

部数を表示するとき、基本的には刷り部数を指すことになっています。つまり、実際に売れた部数(実売部数)ではありません。ですから、まだ売れていなくても印刷だけしてしまえば「〇万部突破!」という表記ができてしまうわけですね。

もちろん売れているからこそ重版をかけて部数を増やすわけですが、なかにはベストセラー倒産に追い込まれる出版社もあるくらいなので、売れている本だと100%断言はできません。

なぜ潰れる?出版社の「ベストセラー倒産」が起こる理由
出版不況と言われて久しい今日このごろ。書店が次々と閉店に追い込まれる状況が続き、その不況の波は出版社にも押し寄せています。そんな出版不況でも、定期的に「ベストセラー」と呼ばれる本が必ず登場します。「ベストセラーがあれば出版社は安泰!」本が売...

実務上はほとんど「重版出来(でき)」が使われる

英語

「重版出来」は「じゅうはんでき」ではなく「じゅうはんしゅったい」と読むんだよ、ということをお話してきました。

しかし、出版業界では実務上、「でき」と読むことが多い気がします(他の会社の事情はわからないので、断言はできない)。少なくとも、僕が働いていた出版社の同僚が「しゅったい」と言っているのを耳にしたことはありません。

なぜ「出来(でき)」と読むのか?それは、そう読んだほうがラクだからです。

それに何より、「しゅったい」という読み方があまり浸透していない印象があります。ですから「しゅったい」と正しく読んでも、相手に伝わらず「しゅったい…って何?」となってしまうことがあります。

知識としては「しゅったい」だけど、実際は「でき」と読まれることが多い「重版出来」のお話でした。

本の知識・雑学

僕が全力で”本の聴き放題”をおすすめする理由

Audible対象作品の一例

Audible対象作品の一例

Amazonのオーディブル(Audible)は、プロのナレーターが朗読した本をアプリで聴けるサービスです。なんと、12万以上の作品が好きなだけ聴き放題になります。

本を買う必要がないので場所も取りませんし、両手が自由に使えるメリットがあります。

通勤や通学などで聴くもよし、自宅でBGM代わりに聴くもよし。僕は散歩中に好きな作品を聴くことが多いです。

30日間無料で聴き放題が試せるので、少しでも気になる人は使ってみてください。

30日間無料!12万以上の作品が聴き放題

▶ Amazon オーディブルの公式サイトを見てみる

記事の更新通知をLINEで受け取れます

LINE友だち追加をしていただくと、特典として【会員限定公開記事】を3本分無料でプレゼントいたします。以下のリンクを押すと、かんたんに友だち追加ができます。PCの場合はQRコードをスマホで読み込んでね。

▶▶LINEで友だちに追加する

洋書生活 / English for Books