ちょっと失礼な言い方にはなってしまいますが、本は見た目によらないことを体現しているのが『例解 和文英訳教本(文法矯正編)』です。
表紙はいかにも昔な(昭和っぽい)感じがしますが、初版は2010年と比較的新しめ。
肝心の内容ですが、これまで読んできた50冊以上の英語の参考書のなかでもTOP3に入るくらいわかりやすいです。
今ではデスクの上に置いて、わからない箇所が出てきたら教科書的な感じで逆引きして読んでいます。というわけで、早速レビューしていきたいと思います。
名前はわかりづらいが、英文法の本
『例解 和文英訳教本』というタイトルだけ見ると内容がよくわかりづらいですが、「文法矯正編」という副題からもわかるとおり英文法の解説本だと思ってもらえばOKです。
構成としては、各チャプターの冒頭に日本語の例文(課題文)があり、実際に英作文をしながらその過程で出てくる英文法を解説していくというスタイルです。
たとえば、こんな感じの課題文が出てきます。
- 課題文:毎朝30分のジョギングをすることがその老人の健康の秘訣である。
- 英訳例:Jogging for thirty minutes every morning is the key to that old man’s good health.
ちなみに、英訳例はチャプターの最後に掲載されているので、途中で目に入ってしまう心配もありません。
なお、英文については英語のネイティブスピーカーが添削していて、不自然なものは一切ないので安心。
ただ単に読むだけの英文法書とはちがって、実際に英作文を作って手を動かしながら読みすすめることになるので、”自分ごと”として勉強できるのが本書の強みだなと感じました。
課題文を作るところから入るので、最低限の英文法知識がないとむずかしいですが、それなりに英語ができる人なら力試しにもなるのでおすすめ。
僕がこの本に取り組んだのはTOEIC750点レベルのときですが、自分がどれくらい英作文できるのかワクワクしながら読みすすめることができました。
レイアウトは見やすく、解説もやさしい
個人的に、英語の教本はレイアウトが重要だと思っていて、長く愛用する教本は読みやすいほうが良いに決まっています。
その点、この本はレイアウトが見やすく、なおかつ著者の解説も非常にわかりやすいです。
上記は実際のページの画像です。派手さはないものの、余白やインデントがきちんと取られていて、太文字も程よく使われているので、非常に読みやすい。
また、解説でむずかしい言葉が使われることもないですし、口語っぽい説明も入るので親しみを持ちながら勉強ができます。
わかりやすい解説の例として、多くの人が悩む【be going to 〜 と I will】の違いを本書から引用したいと思います。
一人称が主語のときのwillは〈その場でとっさに決まったこと〉を述べるときに使う。例えば、どこか部屋にいるとして、突然電話が鳴ったとする。その電話に「僕が出る」と家族の人に聞こえるように言う場合が、I’llの出番である。
この本の素晴らしいところは、英文法の「なぜそうなるのか?」という理由までくわしく解説してくれるところです。さらにそれだけでなく、上記のように「こういうシチュエーションだから、こういう表現になる」というところまで踏み込んでいます。
こういった解説は、英文法の理解のみならず、英会話でも大いに役立つはずです。
また解説の他にも、著者の英語教育に対する思いみたいなのが、解説の端々から感じられるのがけっこう良かったりします。
名著や長年売れ続けている本は、よくも悪くも著者のクセが強く反映されているモノが多いですが、この本もそんな1冊だと思います。
受験の参考書だけど、社会人にも激推し
『例解 和文英訳教本』は受験対策本として売られており、書店でも受験参考書のコーナーに置いてあることがほとんどです。
そのため、大学生や社会人が英語を学ぼうと思っても、あまり目につかないと思います。僕はそれがとてももったいないと思っています。
本当に良い本なので、すべての英語学習者が読むべきだと思うレベルです。
とはいえ、ある程度は読者を絞ったほうが選ぶ方も選びやすいと思うので、以下におすすめの対象者を列挙しておきます。
- こんな人におすすめ
- ・大学受験生
- ・社会人やTOEIC受験者
- ・英文法をもう一度やり直したい人
- ・英検の英作文対策
上記は、実際に僕が読んでみて感じたことです。
ちなみに、本書のまえがきには対象読者として以下のように書かれていますので参考にしてみてください。
こんなあなたに本書をおすすめします
→ 英作文の基本を学びたい人
→ 実践的英文法を学びたい人
→ 学校文法はできても英作文は苦手だという人
→ 中・高校時代とは違った角度から英文法を見直したい人
→ 和文英訳を通して英語的センスを身につけたい人
→ 英語教師志望の人、すでに教壇で英語を教えている人