フレディ・マーキュリーの伝記を洋書で読む。Queenの意外な歴史が面白い【Penguin Readers “Freddie Mercury”】

Freddie Mercury

※この記事はプロモーションを含みます

世界で最も有名なロックバンドは?と聞かれて、皆さんなら何と答えるでしょうか?

僕がパッと思いつくのはThe Beatles、Eagles、The Rolling Stones、そしてQueenです。

【Queenといえば、フレディ・マーキュリー】というイメージがある人も多いのではないでしょうか。それくらい、彼のボーカルとしての個性は圧倒的です。

今回はそんなフレディ・マーキュリーの生涯、そしてQueenの歴史がよくわかる1冊の洋書をご紹介します。

Penguin Readersのレベル5に位置する本ですが、あまりに面白くて5時間くらいで一気読みしちゃいました。

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あゆむ

書店員→出版社→フリーランス10年目丨年間50万人以上に読まれる英語学習ブログ pima.net を運営丨独学でTOEIC450→830丨英検1級合格&900点超えを目指して勉強中丨Versant 44丨夫婦+保護猫🐱で生活丨趣味は格闘技(特にMMA)を観ること丨noteで洋書初心者向けの入門講座やってます

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Queenがイギリスのバンドという意外性

この本を読んで僕がまず最初に驚いたのは、フレディ・マーキュリーの出生地についてです。

僕は勝手なイメージで彼がアメリカ出身だと思っていたのですが、フレディは1946年、アフリカのザンジバルという国で生まれました。

その後フレディはイギリスに移住し、そこでQueenを結成します。

クイーンの楽曲で僕がパッと思い浮かぶのは「We Will Rock You」なんですが、この曲ってめちゃくちゃアメリカっぽいんですよね。アメリカの巨大なスタジアムで歌うのがピッタリくる感じ(実際、この曲はスタジアムで演奏することを意識して作られたらしい)。

あとは、「We are the Champion」という曲も有名ですが、これもすごくアメリカっぽさを感じるんですよね。

イギリスのバンドというと、Beatles、Oasis、Coldplayあたりの王道ロックバンドのイメージが強いので、”The アメリカのバンド”っぽいQueenがイギリスのバンドだと知ったときはかなり意外でした。

一度聴いた曲を即興でピアノ演奏できるフレディ

2018年に彼らの半生を描いた映画『Bohemian Rhapsody』が公開されました。アーティストの伝記映画としては異例のヒットとなった作品ではないでしょうか。

その映画のタイトルにもなった楽曲「Bohemian Rhapsody」なんですが、この曲の歌い出しはフレディのピアノ演奏と共に始まります(イントロはコーラス)。

あれだけの声量と迫力ある歌声に恵まれながら、ピアノまで弾けてしまうところに驚きを感じますが、彼はただピアノが弾けるだけでありません。

人生で最初に組んだバンドで、フレディはピアノを担当したのですが、彼は1度聴いた曲をすぐに即興で弾く能力を持っていました。

He had a special ability, because as soon as he had heard a song once on a radio he was able to play it on the piano.

彼は特別な能力を持っていた。というのも、ラジオで一度聴いた曲をすぐにピアノで弾くことができたのだ。

才能あるアーティストはたくさんいますし、即興でピアノが弾ける人も決して珍しくはないでしょう。

しかし、あれほどの歌声を持ちながら、ピアノまで即興で弾けてしまうところに圧倒的な才能を感じずにはいられません。「ああ、持ってる人はとことん持ってるんだなぁ」と。

お金がなくてテレビも買えない時代になんと…

イギリスには当時、Top of the Pops という音楽番組がありました。ビートルズやデビッドボウイなど有名なアーティストが出演しており、この番組に出ることが商業的な成功につながるものでした。

Queen もTop of the Popsに収録で出演を果たすことになるのですが、まだまだ売り出し中のバンドです。当然、バンドメンバーはお金もないので誰もテレビを持っていません。

でも、自分たちが出演する番組は見たい。ではどうするか?なんとQueen のメンバーは、自分たちが初めて出演した番組を、テレビ販売店の店頭で観たのです。

However, none of the band owned a TV. So when the show was broadcast the next evening, they had to go to a shop that sold TVs and watch themselves on Top of the Pops through the shop window!

しかし、誰もテレビを持っていない。だから、翌日の夕方に番組が放送されるとき、彼らはテレビが売っているお店へ行って、自分たちが出演した番組をテレビ売り場で観たのであった。

なんとも微笑ましいというか、心があたたかくなるようなエピソードですよね。

現在の日本でいうなら、King Gnuが初めてMステに出演して、それをヤマダ電機のテレビ売り場でメンバーみんなが集まって観るような感じですからね(違うか)。

Queen の業績とか歴史を振り返るなかで、こういった細かいエピソードが書かれているのがこの本の良いところだなと思います(細かいエピソードは、これ以外にもたくさん載ってます)。

エイズに苦しんだフレディ。最後に取った行動が凄い

フレディはエイズに感染し、1991年に亡くなってしまいます。その最大の要因は、彼がバイセクシャルであったことが関係しているようです。

フレディには長年連れ添ったメアリー・オースティンという女性がいますが、晩年は彼女だけではなく、ジム・ハットンという男性と一緒に過ごしていました。

ちなみに、エイズは男性同士の交わりのほうが感染率が上がると言われています。

男性同性間の性的接触では、腸管粘膜から精液中のHIVが侵入します。機械的な刺激の強い膣や口腔の粘膜は重層ですが、腸管粘膜は単層であることから傷つきやすいため、HIVが侵入しやすく、膣性交よりも感染リスクが高くなります(HIVKENSA.COMより引用)

フレディはずっとバイセクシャルであることを隠し、エイズであることも公表してきませんでした。それは「長年のファンが離れてしまうのではないか?」というフレディの懸念があったからで、それはもっともなことです。

ずっとメディアに沈黙を貫いてきたフレディですが、いよいよ最期の時が近づいてくると、彼は驚きの方法でメディアに真実を打ち明けます(以下の日本語は当方で意訳したものです)。

He had decided to tell the world that he had AIDS.

At midnight, Jim went outside and read this information from Freddie to the journalists. It said: “I wish to [say] that I … have AIDS … the time has come now for my friends and fans around the world to know the truth and I hope that everyone will join with my doctors … in the fight against this terrible illness.”

彼は自分がエイズであることを世界に伝える決心をした。

夜中、ジムは外に出て、フレディからジャーナリストに宛てたメッセージを読み上げた。

「私がエイズであることを世界中の友人やファンに伝えるときが来ました。このツラい病気と戦うために、すべての人が参加することを望んでいます」

フレディがエイズで体調が悪化しているという情報を聞きつけ、多くのマスコミが連日のようにフレディの自宅を取り囲んでいました。

ずっと真実は伝えずにきたフレディが、いよいよ最後を悟ったのでしょう。「自分はエイズである」ということを、最愛のパートナーであるジムを通してマスコミに直接伝えてもらったのです。

フレディがつらいのはもちろんですが、きっとそれ以上にジムは辛かったことでしょう。最愛の人の病気をマスコミの前で伝えなければならない心境を想うと、心が痛みます。

フレディとQueenに興味がある人は必読の1冊

ここまでの書評をごらんいただくとわかると思いますが、この本はQueenおよびフレディの歴史や生い立ちについてかなり細かく描かれています。

ペンギンリーダーズを読むと毎回のように感心させられるのですが、よくもまあ80ページ程の紙幅にここまでの情報を詰め込んだものです。

僕は特別、Queenのファンというわけではありませんでしたが、続きが気になってどんどん読み進めたくなってしまうほど面白い本でした。

最初に説明したとおり、本書はPenguin Readersのレベル5に位置する本です。英語レベルによって感じ方は異なると思いますが、僕は非常に読みやすく感じました。

Queenファンはもちろんこと、音楽が好きな人なら読んで損なしの1冊です。特に、アーティストの伝記が好きな人には間違いなくおすすめしたいですね。

本のレビュー自伝・伝記
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