英語の勉強をしていると「なんでこの単語がこんな意味になるのよ?」と泣きたくなることってありますよね。
英単語で苦戦しないためには、いかにその単語が持つイメージを正しく理解するかが重要です。
どうすれば英単語をシンプルにわかりやすく覚えられるか?その答えを示してくれるのが『100語で伝わる 魔法の英単語ランキング』という本です。
久々に英単語系の本を読みました。タイトルはちょっとアレですが、この本は良書だと断言できます。かなりおすすめなので、くわしくご紹介します。
※本書はAmazonの読み放題サービス「Kindle Unlimited」の対象作品なので、かなりお得に読めます(対象作品は随時入れ替わります)。
海外ドラマで1番多く使われる英単語は意外にも…
この本は、著者が海外ドラマ『SEX and the CITY(SATC)』を実際に観て「どの英単語が最も多く使われているか?」を分析した本です。
「海外ドラマで使われる=リアルな会話で使われる」ということを意味しますから、海外ドラマを観るときに役立つのはもちろん、日常会話でも大いに活用できる内容になっています。
僕もいま、Suitsという海外ドラマにどっぷりハマっていまして、そこで繰り広げられる会話ににちょっとした憧れを抱きながら鑑賞しています。
さて、気になる「最も使われている英単語」ですが、第一位は have でした。
have と聞いて真っ先に思い浮かぶのは「持つ」という意味ですが、この本では have の本質を「共にある状況」と説明しています。
たとえば、I have a girlfriend.
「彼女がいる」すなわち、お互いに付き合っている認識があるということです。それはつまり、【付き合っている状況にある】ということ。
僕たちはどうしても英単語の意味を1対1で覚えてしまいがちです。go = 行く、get = 手に入れる、という具合に。
でも、この覚え方をしてしまうと、すぐに英文が読めなくなります。なぜなら、1つの英単語にはかなりいろんな意味が含まれているからです。
have も同じで、have = 持つ、で覚えてしまうと、英文読解の枠をかなり狭めてしまうでしょう。
「夕食を食べる」を have dinner といいますが、これも【夕食と共にある状況】と考えることで理解しやすくなります。
see と look と watch の違いはこれでスッキリ
see という単語があります。一般的には「見る」と訳されますね。
see もいろいろな意味で使われることが多く、海外ドラマにおいては【see + 人 = 人に会う】という意味で最も多く使われていました。
さて、そんな see の意味を考えるうえで避けて通れないのが、look と watch との違いです。
see、look、watchはいずれも「見る」と訳す英単語ですが、それぞれにどんな意味の違いがあるのでしょうか?
lookは目をやった瞬間(点)、watchはそれを観ている時間の流れ(線)がありますが、seeは意識的に「見る」のも、見ている時間に関係なくぜーんぶseeで言えます!
look at me (私を見て)は点、watch a TV(テレビを見る)は線、seeは両方いける、という感じです(代用できるという意味ではありません)。
あと他におもしろいなと思ったのが、「わかる」という意味で使うときの see です。
わかるという意味では know という単語もありますが、know は「すでにわかっている」という既知を含んでいます。
一方の see は「その瞬間わかった」という意味を含んでいます。
なので、以下のようなケースでは see と know のどっちを使うかによって、かなり印象が変わってきそうです。
You should speak English every day. (毎日英語を話したほうがいいよ)とアドバイスされたときに、I know(知っとるわ)、I see(なるほど〜)。この違い。I see を使うことを強くおすすめします(笑)。
という具合に、同じ「わかる」という意味でも使い分けが重要であることがよくわかりますね。
want と need の違いは「主観と客観」
次にwant と need です。どちらも「欲しい」「必要」といった意味で使われますね。
これも状況に応じて使い分けることで、相手に正確なニュアンスを伝えることができそうです。
というのも、want には主観的な意味が含まれていて、needには客観的な意味が含まれているからです。
I want to talk to you. と I need to talk to you. はどちらも「あなたと話がしたい」という意味ですが、自分がただ話すことを欲しているのか、状況的に話す必要があるのか、意味合いが変わってきます。
これは、want が人以外の主語を取らないことを考えると理解しやすいと思います。
知っておきたい going to 〜 と will〜のちがい
最後に、日常会話でも頻繁に登場するgoing to 〜 と will〜のちがいについてご紹介します。
going to 〜 と will〜はどちらも「〜するつもり(予定)」という意味で訳されます。
また、それぞれの違いについて以下のように解説されていることも多いと思います。
- going to 〜 は「すでに前から決まっていること」
- will〜 は「いま決めたこと」
学校でもこのように教えられることも多いですが、じつはこの理解は間違っているようです。
いきなり結論からぶっ込みますが…この説明は【ウソです】。なぜなら海外ドラマを見ていると、I’m going to go to the bathroom.(トイレに行ってくる)が使われまくっているのです。
「トイレに行く」というのは明らかにいま決めたことですよね。
つまり、going to 〜は「すでに前から決まっている予定」だけでなく、「いま決めたこと」についても言えるということです。
そしてもう一つ、「トイレに行く」というときに will〜 は使いません( I will go to the bathroom. とは言わない)。
なぜか?この疑問についてもわかりやすい解説があります。
【トイレ行くって、今決めたのになんでwillが使えないの?】…これです。実は、I willは「〜してくるからね」という【相手に向けた約束】のニュアンスが出るのです。
トイレ行くときにわざわざ相手に約束をする必要はないですよね。だから、ここではwill を使うのは不適切というわけです。
なんでこんな大事なこと、学校で教えないのかな〜と読みながらつくづく疑問に思いますね。
ランキングよりも、使い分けがめっちゃ参考になる
この本は「英単語ランキング」と銘打っているので、ついついランキングばかりに目が行きがちです。
しかし、実際にはそれぞれの英単語が持つ本来の意味、そして似ている単語同士をどうやって使い分けるか?についてかなりわかりやすい解説があります。
海外ドラマで多く使われている表現を知るのもおもしろいですが、それ以上に単語が持つニュアンスを正しく理解するための本だと僕は感じました(なので、この記事でもランキングについてはほとんど触れてません)。
というわけで、本書は以下のような人におすすめです。
- ・海外ドラマを観て英語学習をしたい
- ・日常会話でよく使われる英単語、英語表現を知りたい
- ・英単語の使い分けをくわしく知りたい
- ・英会話で細かいニュアンスをきちんと伝えたい
ちなみに、本書は全編カラーなので非常に読みやすいです。
また、著者が関西出身ということもあり文章はとても軽快で、ところどころに笑えるポイントがあるのもありがたい。いやなクドさもありません(笑)。
個人的には、今まで読んだ英単語系の本のなかでもTOP3に入るくらい良かったです。本当におすすめの1冊。
この本はAmazonの読み放題サービス「Kindle Unlimited」の対象です(2020年6月時点)。
本を買わなくても読めちゃいますので、ぜひ試してみてほしいです。