英検の単語帳といえば、旺文社の「でる順パス単」がド定番だと思う。
ジャパン・タイムズ社の「単熟語EX」はどちらかというと、後塵を拝している感があった。
パス単をやめて、単熟語EX(第2版)を6周やり込んだ今だから言いたい。
「これからの英検の単語帳は断然、単熟語EXを使うべき!」だと。
というわけで、パス単と比較しながら、単熟語EX(第2版)についてレビューしていきます。
なお、僕が使っているのはいずれも英検1級の単語帳です。級によって単語帳の内容が異なるのでご承知おきください。
- この記事はこんな人におすすめ
- ・英検対策におすすめの単語帳を知りたい
- ・パス単と単熟語EXのどっちを使えばいいか悩む
- ・単熟語EXのメリットとデメリットを知りたい
単語の収録数が、パス単よりも単熟語EXのほうが多い
パス単と単熟語EXの両方で勉強してみて痛感したのは「単熟語EXのほうが単語のカバー率が高い(収録数が多い)」ということ。
たとえば英検1級の場合、各単語帳の収録数は以下のとおり差があります。
- パス単(5訂版) 2,400語
- 単熟語EX(第2版) 2,950語
という感じで、数字で比べるだけでも十分に差があるのがわかりますよね。
そして、実際に勉強した僕の実感からいっても、単熟語EXで勉強したあとのほうが正答数が向上しました。
パス単だけで勉強してたころは、大問1の語彙問題で間違えることが多かった。
より具体的にいうと「こんな英単語、見たことないぞ…」というケースが多々あったのです。
それはつまり、パス単の勉強だけでは大問1をカバーしきれていないということ。
そこから単熟語EXで勉強したあとに大問1をやると、正答数25問中24問という高い成績を叩き出したのです(英検1級は2024年度の試験から大問1が25問→22問に変わります)。
単熟語EXをやったあとだと体感的にも大きな変化があり、「見たことない単語がほとんどない」という状態に。
大問1のカバー率は英検の合否に大きく関わってくるので、収録数の多さだけを考えても単熟語EXを選ぶのが断然おすすめです。
そして、大問1の正答数を上げるのもそうだけど、単熟語EXをやったあとだと英語そのものに対する自信が高まったのを実感しています。
改訂でパス単が易化してしまった…?
パス単が第4版→第5版に改訂されたことによって、「内容が簡単になりすぎた」というAmazonレビューがいくつか散見されます。
2018年ごろから初版本でずっと勉強してきました。何度か受検し、全て合格しています。
このたび受験するにあたってそろそろ改訂版を…と思って見てみたのですが、難易度の高い単語がかなり削除されています。
近年、筆記・リスニングとも難易度が下がった感じはないので、この版だけでは足りない気がします。
全てを覚えてあとは推測…を狙っているのでしょうか?
とっかかりとしては良いと思いますが、他社教材と併用した方がいいと思います。
この単語帳は難易度が英検1級の問題と全く合いません。簡単すぎます。英検1級に出てくる内容を全く網羅しておらず、この単語帳を何周勉強しても英検1級が合格できる実力は絶対に身に付きません 。
という感じで、一部ではかなり辛辣なレビューもあります。
僕は改訂前の第4版を使っていたのですが、たしかに第5版はかなり易化した印象です。
一部のユーザーによれば「パス単の大問1カバー率45%」(真偽は不明)という意見もあるくらいなので、これだけで試験に臨むのはかなり不安。
正直、パス単を使うメリットはほとんどないので、これから英検対策する人はまちがいなく単熟語EXを使うべきだと思います。
過去にパス単のレビュー記事も書いてるので、気になる方はぜひ。
単熟語EXが優れている4つのポイント
- ① 単語の収録数が多い
- ② よく出る順番で並んでいる
- ③ 記憶のフックになる語源が掲載(一部の単語のみ)
- ④ テクニカルターム(専門用語)も学べる
① 単語の収録数が多い
さきほど説明したように、英検1級の単語帳においては単熟語EXが最高峰(というか英検対策を標榜している単語帳のなかではNo.1かも)です。
単語数が多いということは、言うまでもなく試験での正答数UPにつながります。
特に、英検1級の大問1は難易度が高く、単語帳を完全に覚えても満点を取るのはむずかしい。
ですから、少しでもカバー率の高い単語帳を選ぶべきです。
他の方がブログで解説されていますが、パス単や究極の英単語と比較しても、単熟語EXのほうがカバー率が高いといわれています。
② よく出る順番で並んでいる
パス単も出る順で並んでいるので単熟語EXだけの強みではないですが、やはり試験に出やすい単語を重点的に学べるのはありがたい。
単熟語EXの場合、3,000弱の単語やフレーズを覚えるわけなので、効率的に進めないとしんどいし、心が折れます。
また、単語帳はどうしても最初に書かれている単語のほうが目に入りやすいので、そういった意味でも出る順に並んでいるのは助かります。
③ 記憶のフックになる語源が掲載(一部の単語のみ)
似ていて混同する単語や馴染がない単語の場合、「何度やってもなかなか覚えられない…」みたいなことが頻発します。
そういうとき、何らかの「フック(きっかけ)」みたいなのがあると、記憶に残りやすくなるものです。
単熟語EXでは一部の単語に語源が掲載されていて、記憶のフックになります。たとえばこんな感じ↓
- ・diffident 自信のない、気後れした
- 語源:dif-(離れた)+ fid(信頼)+ -ent【形】
僕は語源などは意識せず、気合で単語を覚えるタイプなのですが(笑)、人によってはこういう語源が記憶の助けになるはず。
ちなみに、パス単には語源の掲載はありません。
④ テクニカルターム(専門用語)も学べる
これも単熟語EXならではの強みなのですが、英検1級にはテクニカルターム(専門用語)が多く登場します。
たとえば以下のような用語なども、英検1級では覚えておく必要があります。
- archaeopteryx 始祖鳥
- magnetosphere 磁気圏
- quagmire ぬかるんだ土地
テクニカルタームは馴染がない単語ばかりなので、本番で初見となるとかなり苦しいはず。
しかし、これらの単語も単熟語EXは網羅しています。テクニカルタームというUnitが設けられているので、そこで一気に暗記が可能。
一方、パス単にはテクニカルタームは掲載されていません。
単熟語EXには「ミニテスト」がない
パス単には各単元の最後にミニテスト(穴埋め形式)が用意されています。
一方、単熟語EXにはミニテスト的な要素はありません。とにかく単語が並んでいるだけです。
「ミニテストの有無」については好みが分かれると思いますが、僕はなくてもまったく問題ありませんでした。
というのも、「単語帳はとにかく単語を反復するためのもの」だと思っているから。
ちゃんと覚えられているか力試しするのは別の教材を使ってやればいいので、僕はミニテストなしでも気になりません(むしろ、ないほうがいいかも)。
一方で、単語帳をこまめにやりつつ、力試しをしたいという人にとってはパス単の構成は有益だと思います(だからといってパス単のほうが優れてる!とは到底いえませんが)。
単熟語EXの欠点は2つある
- 単熟語EXの欠点
- ① 音声が使いにくい
- ② 例文が長い
① 音声が使いにくい
単熟語EXで音声を聞くには、以下のどちらかの方法があります。
- ・ジャパンタイムズの「OTO Navi」というアプリを使う
- ・公式サイトから音声ファイルをダウンロードする
僕は音声ファイルをパソコンにダウンロードして、それをスマホに転送しています。OTO Naviは使ってません。
が、このやり方は手間がかかるので、大半の人にとっては OTO Navi のほうが手軽なはず。
ただ、僕の場合だとOTO Naviはちょっと使いづらかった。というか、僕の目的にはそぐなわかったです。
というのも、僕は散歩中に範囲指定でリピートして、ひたすら単語を聞き流すというのを習慣にしています(本を使った勉強を自宅で完了させてから)。
OTO Naviは範囲指定が自由にできないので、たとえば「500語で範囲指定してリピートしたい」という使い方ができません。
もちろん、欲を言い過ぎているというか、特殊なやり方です。僕が単純に面倒なユーザーなだけだと思います。
OTO Naviのアプリ自体の完成度は高いので、一度使って確かめてみてください。本を買ってなくても、無料で音声が聴けます。
② 例文が長い
「例文が長い!」というのは声を大にして言いたい。 ぜひ次の改訂で見直してほしいです。
各単語には例文が載っているのですが、長すぎて記憶を阻害する例文があります。
たとえば、weather(切り抜ける)という単語の例文を見てみましょう。
The village weathered the hurricane with only some small damage to the school building.
学校の校舎にわずかな損傷を受けたくらいで、その村はハリケーンを切り抜けた。
例文が長いうえに、with only 〜以下があまり馴染みのない構文?なので、記憶に余計な負荷がかかるんですよね。
weather という単語を覚えるだけだったら、
The village weathered the hurricane. (その村はハリケーンを切り抜けた。)
だけで良くない?と思ってしまいます。十分にイメージもできるし。
もちろん、すべての例文が長いわけではなく、簡潔で短い例文もあります。
ただ「この例文、もっと短くていいでしょ…」と思うことが多々あったのも事実。
このあたりは好みの問題だとは思うけど。
こういった欠点があるのは事実ですが、正直微々たるものです。
単語の収録数やカバー率を考えると、英検対策に単熟語EX以外の単語帳は考えられません。