英語の新聞記事やニュースなどで、soft power(ソフトパワー) と hard power(ハードパワー)という言葉が使われることがあります。
それぞれの意味と違いについて解説しつつ、実際の例文でどのように使われているのかチェックしていきましょう。
hard power の意味
まずは hard power から。日本語でも「ハードパワー」という言葉がそのまま使われることもあります。
hard power をひとことでいえば「軍事力や経済力を使って、他国に強制的に影響を与えること」をいいます。
経済援助(financial aid)をすることも hard power ですが、基本的には軍事介入 (military intervention)や経済制裁(economic sanctions)など、あまり良くない意味で使われることが多いかな?と個人的には思っています。
ちなみにケンブリッジディクショナリーでは、おもに軍事力行使を hard power と定義しています。
the use of a country’s military power to persuade other countries to do something, rather than the use of cultural or economic influence:
文化や経済によって影響を与えるのではなく、他国を説き伏せるために軍事力を使うこと。
soft power の意味
次は soft power (ソフトパワー)です。
ひとことでいえば「軍事力や経済力以外の方法で、相手の国に影響を与えること」をいいます。
soft power は hard power の対義語(Antonyms)として考えるとわかりやすいですね。
政治や外交なども soft power に含まれますが、特に日本においては文化的な価値観によって相手の国に影響を与えることを得意としています。
具体的には、マンガ・アニメ・ゲーム・寿司などが好例です。
hard power は、相手の国を”従える”もの。
soft power は、相手の国を”魅了する”もの。
このように違いを意識するとわかりやすいかもしれません。
soft power は CNNニュースの中でも使われることがあります。
It’s been called “vaccine diplomacy”. Analysts say that it’s a soft-power play by China to reshape the pandemic narrative and repair its image, damaged by initial mishandling of the outbreak.
それは「ワクチン外交」と呼ばれている。アナリストいわく、コロナが発生した初期の不手際による悪いイメージを払拭し、パンデミックについて語られる話を塗り替えるための中国のソフトパワー戦略である。
中国がコロナ用のワクチンをアジアやアフリカ諸国に提供しているのが「ワクチン外交ではないか?」と報じられているニュースです。
このように、持っている資源や外交手段を活かして、自国が有利になるように仕向けるのが soft power の本質というわけです。
hard power と soft power のちがい【まとめ】
- hard power … 軍事力などで強制的に相手国を従わせること
- soft power … 政治、外交、文化などで相手国を魅了すること
ちなみに、hard power と soft power という言葉はアメリカの国際政治学者であるジョセフ・ナイが生み出した言葉です。
hard power は強制力を伴うものですが、soft power は共感を呼ぶものです。
それぞれの国がもっと政治や文化に磨きをかけ、ソフトパワーを駆使するようになると良いですよね(言うのは簡単ですが)。