洋書をスラスラ読むための方法として「日本語版を併読する」というものがあります。
実際、僕も洋書+日本語版を読み比べることが多々ありまして、効果を実感しています。
今回は洋書と日本語版(訳書)をセットで読むメリットについて解説してきます。
洋書と和訳版の2冊をセットで読む
あらためて説明しておくと、今回紹介するやり方は【日本語に翻訳された和書を読む→洋書(原書)を読む】という読書法です。
日本語に翻訳された本であらかじめ内容を理解してから、そのあとに洋書を読んでいきます。
ですから、まずは自分が読みたい本を見つけていくわけですが、当然ながら日本語訳で出版されている本と原書の2冊を用意する必要があります。
まず最初に日本語訳を買って読んでみて、面白ければ英語版も読んでみるというのがおすすめです。
内容が同じ和書と洋書を2冊読むのはそれなりに時間もかかるので、本当に面白いと感じた本だけを厳選して併読するのが良いと思います。

内容を知ってから読むメリット
- 和書と原書を読むことで…
- ・日本語版を読んで内容の良し悪し確認できる
- ・推測読みができる(辞書を引く回数が減る)
- ・翻訳の勉強になる
- ・同じ内容を反復して読むので、記憶に定着しやすい
日本語版を読んで内容の良し悪し確認できる
無数ともいえる出版物をできるだけ多く読むためには、自分にとっての”ハズレ本”を排除していく必要があります。ここでいうハズレというのはあくまでも、自分にとっては不要な本だったり、興味が沸かない本です。
まだリーディング力が高くない状態で洋書を読む場合、本の全体像を掴むまでに時間がかかります。要するに「この本は、読む本に値するのか?」というのが、洋書だとスグに判断できないということです。
しかし、和書であれば本の良し悪しがわりと早い段階で判断できます。面白ければそのまま読み続ければいいですし、つまらなければ洋書(原書)に行かずに終わらせることもできます。
最初に和書を読むことで、自分が読むべき洋書を厳選できるというメリットがあります。
推測読みができる(辞書を引く回数が減る)
日本語訳を読んでから洋書を読むということは、本の内容がある程度頭に入っているはずです。
そのため、わからない英単語やフレーズが出てきても「これはおそらくこういう意味だろう」という推測読みがしやすくなります。
推測読みというのは文脈から意味を推測することですが、読書をするうえで推測読みは不可欠です。
なぜかというと、わからない単語が出てくるたびに辞書を引いていては時間がかかりすぎるからです。
これは英語でも日本語でも同じことがいえます。日本語で書かれた本を読んでいるとき、僕たちは無意識に推測読みをしています。わからない単語があっても、まわりの文脈から意味を推測できるからです。
洋書を読むときこそ、この推測読みの力を発揮したいところ。そうすれば、辞書を引く時間を大幅に削減できるため、読書に集中する時間を増やすことができます。

翻訳の勉強になる
訳書と原書をセットで読むことで、翻訳の勉強になるというメリットがあります。翻訳家を目指す人はもちろんですが、そうでない人にも利点があります。
洋書を通じて英語を勉強したいという人も多いと思いますが、日本語と英語を見比べて読むことで「この文章はこうやって訳すと意味が伝わりやすいんだな」ということが非常によくわかります。これは日英・英日どちらにも言えることです。
洋書をとおして翻訳のコツを掴むことで、自分が書く英文のスキルもUPしていきます。

同じ内容を反復して読むので、記憶に定着しやすい
英語学習に限らず、知識というのは「何回反復したか」によって記憶への定着率が決まってきます。
英単語がわかりやすいですが、1回見ただけではまず覚えられませんよね。英単語帳を何度も反復したり、他の英文でその単語に出くわすことで記憶への定着が進んでいくものです。
和書であれ洋書であれ、同じ内容を繰り返し読むことで、その本の内容がより記憶に残りやすくなります。ビジネス書であれば教養が身につきますし、小説であれば物語が頭に残りやすくなります。

デメリットは「時間」と「飽き」
- 訳書と原書を読むことのマイナス点は…
- ・時間がかかる
- ・飽きやすい
- ・お金がかかる
訳書と原書を2冊読むことは、デメリットもあります。
最も痛いのは時間がかかるということ。本来は1冊で済むところを、言語は違えど2冊読むわけですから、単純計算で2倍の時間がかかります。厳密には洋書のほうがもっと時間がかかると思うので、さらに増えそう。
そしてもう一つが「飽き」です。
読書というのは、どうしても「初めて知った喜び」が勝ります。「これってこうだったんだ!」という発見は読書の喜びですよね。
しかし、同じ内容の本を2冊読むということは、すでに知っている内容を読み返すことにほかなりません。
さきほど「反復すると記憶に残りやすい」と説明しましたが、これは「反復すると飽きやすい」のと表裏一体です。
そのため、飽きずに読むためには、自分が興味が持てる(繰り返し読みたいと思える)本を選ぶことが必要になります。
また、2冊本を買うことになるので、そのぶんだけお金がかかります。特に洋書は(為替次第ですが)値段が高いことが多いので、金銭的な負担も少々きつくなります。

自分の好きなジャンルの本を選ぼう
訳書と原書を読んでいく場合、自分の好きなジャンル(内容)の本を選ぶべきです。
ただし、正直なところ、本の選択肢は限定的です。当然ながら、日本語版が刊行されている本でしか実践できませんので。
また、絵本や児童書はいいとして、大人が読むペーパーバックなどはそれなりの英語力がないと読むのがむずかしいという現実もあります。
ここでは、個人的におすすめの本をいくつかピックアップしておきたいと思います(日本語は翻訳版の書籍タイトルです)。
- ・良い戦略、悪い戦略(原書:Good Strategy Bad Strategy)
- ・カササギ殺人事件(原書:Magpie Murders)
- ・複利で伸びる1つの習慣(原書:Atomic Habits)
- ・時間術大全(原書:Make Time)
英語力に自信がない人は、多読用リーダーがおすすめ
洋書初心者の人や英語読解に自信がない人は、入門向けの洋書(GR:Graded Readers)がおすすめです。
GRは使われている語彙の数が制限されている洋書で、英文法もわかりやすく書かれているため、洋書の初心者にピッタリです。
さらに、1冊が70ページ前後と薄いため、最後まで読み切りやすいというメリットもあります(洋書は薄い本から始めるのがおすすめ)。
訳書は出ていませんが、洋書だけでも十分に最後まで読み切れる仕様になっているので、試してみる価値はあると思います。くわしいレビューは以下の記事をどうぞ。

Kindleを活用すれば低コストで併読できる
訳書と洋書の2冊を読むということは、本を選ぶ時間もかかるし、お金もかかります。
少しでも時間とお金の問題をクリアにしたいのであれば、Kindleを活用するのがおすすめです。僕も洋書をKindleで読む頻度はかなり高めでして、大いに活用しています。
Kindle版の洋書はペーパーバックよりも安く、スグに手に入るというメリットがあります(街の本屋ではなかなか売ってないので…)。さらに、辞書内蔵という嬉しいメリットも。
さらに、KindleにはKindle Unlimitedという読み放題サービスがあり、和書・洋書を含めた200万冊以上が好きなだけ読めます。
訳書と原書が読み放題の対象本になっていれば、非常に低コストで2冊の併読が可能になります。
最初の1ヶ月は無料で使えるので、ぜひ試してみてください。
