英語を読む上で「スピード」というのはすごく大切です。
試験のときはもちろん、仕事でビジネス文書を読んだり、趣味で洋書やニュースを読むときにもスピードが速いとメリットがたくさんあります。
僕も以前までは「英語読むの遅すぎてヤバい…」と自己嫌悪に陥っていましたが、最近は読むスピードが少しずつ上がってきました。
ということで、英文を少しでも速く読むために僕がやってきたこと&意識していることを紹介します。
記事の前半ではやり方や心がまえなどを解説し、後半では文法的な説明も交えて紹介していきます。
英文のレベルを下げるか、勉強するか
「英語を読むのが遅い」と感じている人の大半は、単純に知識やスキルが英文レベルに追いついてないだけのことがほとんどです。
つまり【自分の英語レベル<英文レベル】という状態になっているので、いってみれば読めなくて当然というわけですね。
ですから、英語を読むスピードを上げるためには2つの選択肢からどちらかを選ぶことになります。
- 英語を速く読むためには…
- ① 英文の難易度を下げる(かんたんな文章を読む)
- ② 英単語と英文法を勉強して、英語レベルを上げる
① 英文の難易度を下げる(かんたんな文章を読む)
読むのが遅い理由としては、まず「(自分にとって)むずかしい英文を読んでいる」という可能性が考えられます。
洋書や英文ニュース記事を読む場合、自分の英語レベルを超える英文であれば読むスピードが落ちて当然です。
つまり、読むスピードを上げたければ自分の英語レベルを超えない(簡単な)英文を選ぶ必要があります。
趣味や情報収集の目的で英文を読む人は、あらためて自分が読んでいる英文のレベルを見直してみるといいかもしれません。つまり、レベルを落とすということです。
あとでくわしく取り上げますが、かんたんな英文を大量に読むことで、読むスピードは速くなります。
ただし、仕事で英文を読まなければいけない場合、自分で読むものを選ぶことはできません(読まざるをえない)。
なので、ビジネスにおいては自分の英語力を上げて対応していく必要があります。
② 英単語と英文法を勉強して、英語レベルを上げる
「英文の難易度を下げたくない・下げられない」という人は、英単語や英文法の勉強をして知識を身につける必要があります。
とはいえ「英語の勉強をせずに、とにかく速く読めるようになりたい」という人は多いと思います。いきなり実践をして、そのなかで身につけてしまおうというやり方です。
もちろん、いきなりニュース記事に挑戦してみたり、洋書のペーパーバックを読んでみるのはいいことだと思います。
しかし、”いきなり実践方式”は結果的に読めるようになるまでに時間がかかるので、あまりおすすめしません。
知識がない状態で英文を読もうとしても、わからない英単語が出てくるたびに中断して辞書を引かないといけないですし、文法力がないと「英単語はわかるのに内容が理解できない」という状態に陥ります。
「急がば回れ」で、最初に英単語と英文法の勉強を終わらせてしまったほうが、最短で英語を読むスピードを上げられると思います。
「結局、勉強しなきゃいけないのか…」と思われるかもしれませんが、やさしい英単語帳と英文法書(いずれも薄い本)を使えば十分です。短期間でサクッと終わらせることもできます。
最初に頑張って勉強してしまえば、一生困らない英語読解力が手に入るわけなので、やっておいて損はありません。
やさしい英文を大量に読む
英語を読むスピードを速くしたければ、やさしい英文を大量に読むのがおすすめです。
僕は以前まで「難しい文を読めば、速く読めるようになる」と思い込んでいました。しかし、難しい洋書を買ってきても挫折するだけでまったく進歩なし。むしろ、英語がキライになりかけるほどでした。
そこから、GRという語彙が制限された入門者向けの洋書に出会ったことで状況が一変。「洋書が読める」という喜びもあいまって、どんどん読むスピードが上がっていきました。
つまり、僕が英語を読むスピードを上げることができたのは、自分の英語レベルに合った教材(文章)に出会えたからです。
厳密にいえば、自分の英語レベルに合った文章というのは「少しやさしいな」と感じる文章になります。
英文を読むのが遅すぎる人は、だいたい【英文を読む→日本語に変換する】というプロセスを通っています。しかし、英語を読むのが速い人(ネイティブ)は、当然ながら英語を英語のまま理解しています。
もちろん、最初から英語を英語のまま理解するのは無理な話ですが、やさしい英文を大量に読むことで日本語に変換するスピードが少しずつ上がり、最終的には日本語への変換なしで読めるようになります。
「やさしい英文じゃ英語力が伸びないのでは?」と思われるかもしれませんが、やさしい英文を大量に読み込むことで、英語を英語のまま理解できるようになるので、スピードは確実に上がるというわけです。
英語を読むという作業は頭を使うのはもちろんですが、スポーツと同じように”慣れ”がかなり重要です。英文に体を慣れさせる意味でも、かんたんな英文を大量に読むのは理にかなっているやり方というわけです。
- 「やさしい英語」の定義
- ・知らない単語がない
- ・知らない単語があったとしても文中から推測読みできる
- ・辞書をほとんど引く必要がない
- ・日本語に訳さずに理解できる
関係代名詞に慣れる。強くなる
以前までは英語を読むのが遅すぎて悩んでいた僕ですが、関係代名詞に慣れてきたことで読むスピードが少しずつ速くなってきました。
関係代名詞は形容詞のはたらきをして、先行詞を修飾します。と、これだけ言われてもわかりにくいと思うので例文を見ていきましょう(関正生著『英文読解の特別講座』より引用)。
- This is the dictionary which I have been looking for.
- 「これは私がずっと探していた辞書だ」
太字の which が関係代名詞です。which 以下が形容詞(節)となって、先行詞 dictionary を後ろから修飾しています。
なぜ関係代名詞を理解できると読むスピードが上がるのか?それは、関係代名詞が使われる英文は、日本語の文と流れが逆になるからです。
日本語の「ずっと探していた辞書だ」というのは【ずっと探していた(形容詞)+辞書(名詞)】という順番です。
しかし、英語の 「the dictionary which I have been looking for」 は【the dictionary(名詞)+ which I have been looking for(形容詞)】という順番になります。
つまり、関係代名詞を使った文は日本語と英語で順番が異なるので、返り読みが発生しやすいということです。
これくらいの短い文であればそこまでむずかしくありませんが、少し長い文になってくると「この関係代名詞って、どの名詞にかかってるんだろう?」と迷いやすくなります。それが結果的に読むスピードを遅くしてしまうのです。
関係代名詞を苦手とする人は多いと思いますが、実際の英文では非常によく出てきます。
洋書や英文記事では当たり前のように使われるので、そのたびに返り読みをしていては読むスピードは速くなりません。
関係代名詞を語順どおりに理解できるようになるというのは、まさしく「英語を英語のまま理解できるようになる」ということでもあります。
やっぱり、やさしい英文を大量に読むことが重要
どうすれば関係代名詞をスラスラと読めるようになるのか?僕がやったのは、さきほど説明したとおり「やさしい英文を大量に読むこと」です。
最初のうちは、どんな人であれ関係代名詞を読むのに苦戦するはずです。返り読みは避けられません。
しかし、英文をたくさん読んでいくと、which や that などの関係代名詞に反応できるようになり、意識しなくても「先行詞→形容詞節」の語順どおりに理解できるようになります。
ちょっと乱暴な言い方をすれば「英語を読むスピードを速くしたいなら、英文をとにかく読みまくれ」ということです。
音読で身体に英語を染み込ませる
黙読だけをしていてもなかなか英語を読むスピードは上がりません。音読をしましょう。
音読をすることで返り読みせずに内容を理解できるようになるため、読解スピードが上がります。
また、リーディングのみならずリスニングやスピーキングにも効果があるため、英語の総合力を上げるのにも役立ちます。
音読は本当にコスパの良い学習法なので、万人におすすめしたいやり方です。