「この英文の構造が出てくるとお手上げ」「何度やってもこの熟語を上手く訳せない」など、誰もが苦手な文法項目を1つは持っていると思います。
僕の場合でいうと、英文の中に as が出てくると身構えてしまうし、being が出てくるとめちゃくちゃ怯みます(笑)
そんな英語学習者の”希望の光”となってくれるのが『世界一わかりやすい英文読解の特別講座』(関正生著)という本です。
これまで読んできた英文読解の本で1番わかりやすい参考書でした。満を持してレビューしていきます。
英語学習者の苦手なポイントをおさえてる
タイトルに「英文読解」とあるとおり、この本は英文を読むうえで知っておきたい読解の知識・技術が詰まった1冊です。
しかし、目次を見てもらうと、そこに並ぶ字面に萎縮してしまうかもしれません。なぜなら、英語学習者が苦手とする文法項目がたくさん並んでいるからです。
たとえば…
- ・強調構文
- ・任意倒置
- ・強制倒置
- ・仮定法
- ・as の判別
- ・名詞構文
いかがでしょうか。文法がキライな人からすると、ゾッとするような字面だと思います。僕もひと目見て「うわ…読むのシンドそう…」と思いました(笑)
しかし、裏を返せば、英語学習者が苦手とする文法項目をバッチリ網羅してくれているということでもあります。
扱っている文法用語はむずかしそうに見えますが、解説は非常にわかりやすいです。これは僕の個人的な感想ですが、関正生さんが書いている本にはハズレがないと思っています。
さすが予備校の先生という感じですが、使われる言葉づかいがポップだったりして、すごく親しみやすいです(それでいて砕けすぎてない絶妙な文体)。
ちなみに、本書は大学入試向けに作られているのですが、対象読者を受験生だけに絞ってしまうのはあまりにもったいない本です。
たしかに例題は大学入試問題が使われているのですが、「英文を読む技術」というのは受験生のみならず、すべての学習者に求められるものですよね。
だから僕は本書を「英語を勉強するすべての人が読むべき1冊」だと思っています。それくらい良い本です。
本書の具体的になにがいいのか?いくつか例を挙げてレビューしていきたいと思います。
as を見たら「同時」を意識する
まず最初は、接続詞の as です。冒頭でも言いましたが、僕は 英文の中に as が出てくると身構えてしまいます。訳し方が多すぎてどうやって意味をとればいいかわからないからです。
しかし、関正生さんは「たくさん意味のある as もすべて『同時』から攻めればカンタン!」と言います。
ウィズダム英和辞典で as を引いてみると、逃げ出したくなるくらいたくさんの意味が載っています。
接続詞の as |
|
---|---|
比較 | 〜と同じくらい |
様態 | 〜するのと同じように |
同時 | 〜するとき |
譲歩 | 〜だけれども |
理由 | 〜なので |
比例 | 〜につれて |
関係詞 | 〜のような |
一見すると「同時」だけでは解決できなそうに思えますが、根底には「同時に」という意味があります。
もちろん、すべての as が「同時」だけで訳せるわけではありません。
しかし、これからは as を見たときにぜひ「同時」を意識して読んでみてください。僕はこれを実践しただけで、英語の長文を読むスピードが上がり、意味も取れるようになりました。
辞書を as を調べて、これだけの意味が出てきたら誰でも絶望的な気持ちになると思います。
しかし「as はすべて『同時』から攻めればカンタン」という事実を知っていれば、as の見方はガラッと変わるはずです。
involve は核心イメージで理解する
もう一つ、僕が英文の中で見かけるとフリーズしてしまう単語があります。それは involve です。
【involve = 〜を含む】というのは知っていても、なぜかしっくりくる感じで英文を訳せないんですよね。
僕と同じように、多くの人が involve を「〜を含む」という意味で理解していると思いますが、辞書で引くと「〜を巻き込む」「〜を参加させる」「〜を夢中にさせる」という意味が出てきます。
しかし、関正生さんは「involve は “イコール” で考えよう」と説明します。
これは本書で紹介されている例文を見てもらうのがわかりやすいと思います。
Learning to play golf involves a mastery of the grip, 〜
(△)ゴルフができるようになることは〜を含む
(◎)ゴルフができるようになることとは、すなわち〜ということだ
例文を見てもらうと、「含む」という訳ではなく、”イコール”で訳したほうがわかりやすいことがわかります。「含む」よりも「=」で結んだほうがしっくりきますよね。
このように、英文で involve が出てきたら、まずは”イコール”で結んでみると意味がとりやすくなると思います。
この本の残念なところ
この本は「英文読解では過去イチ」と僕は思っているのですが、残念なところもあります。
- △ 表紙デザインのせいで買いづらい・持ち歩きにくい
- △ 巻末に索引がない
僕はカバー(表紙)を外した状態で使っています。
実際のカバーは、以下のようなデザインが使われています。
アニメ好きな人であれば喜んで買うかもしれませんが、決して万人受けするデザインではありません。
このイラストが良い悪いという話ではなく、アニメの表紙だと本屋で買うハードルも上がりますし、この表紙のまま持ち歩くのも躊躇してしまいます。
受験生向けに作られた本なので仕方ないとは思いますが、もっと表紙を一般的にしてもらえば読者層をもっと広げられると思うのになーと思ってしまいます。社会人の英語学習にも確実に役立つ本なので。
「本なんて中身が大事なんだから、デザインなんてどうでもよくない?」という意見もあると思いますが、僕は表紙デザインも含めて教材に愛着を持ちたいタイプの人間なので、表紙も込みで好きになりたいんですよね(少数派かもしれませんが…)。
そしてもう一つ、この本には巻末の索引がありません。単語や文法用語で逆引きができないので、目次を見て、おおよそのページにあたりを付けるしかありません。
逆引き辞典みたいに使えたら、さらに使いやすい本になるのになーと思います。
手元に置いとく常備本にしてます
僕は本書を2周ほど読みました。しかし、この本は常に手元に置いておく価値がある本です。
索引はないですが、僕は辞書のようにして本書を使ってます。いわば常備本です。
TOEICや英検の長文問題でわからないとき、洋書で意味が取れない英文が出てきたときなどはこの本をサッと開いて英文読解の参考にしています。
ちなみに、英文読解と並行して読みたいのが『和訳英訳教本』です。英文法の本の中では、TOPを争うレベルでわかりやすいと思います。