「難しい英語教材を使ったほうが英語力が身につく」と思っている人も多いと思います。
しかし、実際には「簡単な英語にたくさん触れること」のほうが圧倒的に重要です。
今回は、NHK英語講座の講師としても有名な伊藤サム先生が書いた『英語はやさしく、たくさん』という本を紹介しつつ、簡単な英語で大量に学ぶメリットについて解説していきます。
やさしい英語教材で勉強するメリット
一般的に、「やさしい英語=英語力な身につかない」と思われがちです。
しかし、実際にはそんなことはなく、むしろやさしい英語で学ぶメリットは大きいと伊藤先生は述べています。
僕もこれまで10年近く英語を勉強してきましたが、やさしい英語を大量に学んだほうが上達しやすいことを実感しています。
なぜ、やさしい英語で学んだほうがいいのでしょうか?それは、以下のようなメリットがあるからです。
- やさしい英語(教材)で学ぶメリット
- ・英語を英語のまま受け入れやすくなる(日本語を介さないで理解できる)
- ・理解できるから、英語の勉強が楽しくなる
英語を英語のまま受け入れやすくなる
個人差はあると思いますが、英語学習の究極のゴールは、ネイティブのように英語を使えるようになることです。
”ネイティブのように”というのは、わかりやすくいえば「英語を英語のまま理解できるようになること」ですよね。
当たり前の話ですが、僕たちは日本語で会話するときに、日本語を日本語のまま理解しています。これと同じことを、英語で出来るようになるのが理想です。
そのためには、少しでも日本語の介在をなくし、英語をイメージのまま捉える必要があります。
難しい英語を勉強するときはどうしても日本語の介入なくして意味を覚えることはできません。たとえば、omniscient という英単語を見たとき、すぐに日本語で意味を調べたくなりますよね?(omniscient = 博識な)
でも、walking dictionary という英語ならどうでしょうか?これも同じく「博識な」という意味ですが、さきほどの omniscient よりも明らかに簡単で、理解しやすいですよね。
もっとわかりやすいのは、英語がカタカナ化した言葉です。「コメント」「ユーザー」「ログイン」といった言葉は、日本語の介在なしに訳すことなく理解できますよね(もはや日本語化した言葉ではあるけど)。
理解できるから、英語の勉強が楽しくなる
英語学習に挫折する最大の要因の1つが「理解できないから楽しくない=続かない」というものです。
仕事で勉強もそうですが、結局は楽しくないと長続きしません。
楽しさはどこからやってくるのか?という話ですが、英語学習に関していえば「新しいことを理解できた瞬間」だと僕は思っています。
わからなかった英文法が理解できるようになったり、以前よりも英語をスラスラ読めるようになったり。
こういった喜びを味わうためには「理解できる!」という体験が不可欠です。
さらに深堀りすると、「理解できる」という体験を得るには、「自分にとってやさしい英語」である必要があります。
こういった理由から、難解な英語教材を使うよりも、やさしい英語にたくさん触れて理解できたほうが良いことがわかってもらえると思います。
「やさしい」の定義ってなに?
【英語初心者におすすめ!】というフレコミで買った英語の参考書が、むずかしくて理解できなかったという経験が僕にはあります。
これは、人によって初心者の定義が異なることが原因です。そのため、ここでも「やさしいの定義ってなに?」という話をしておきたいと思います。
本の中で伊藤サム先生は、「やさしい」の定義について以下のように説明しています。
- 「やさしい英語」の定義
- ・知らない単語がない
- ・知らない単語があったとしても文中から推測読みできる
- ・辞書をほとんど引く必要がない
- ・日本語に訳さずに理解できる
ひとことでいえば「辞書なしでも見聞きできて、日本語に訳さず理解できること」が、やさしい英語の定義です。
わかりやすい例が洋書の多読です。英語初学者がいきなりガチのペーパーバックを読んでも理解できません。知らない単語の連続で、むしろ辞書を引いている時間のほうが長くなってしまうでしょう。
そうではなく、知らない単語がほとんどなく、スラスラ読める洋書が「やさしく、たくさん」に適しています。たとえば、語彙が制限されたGR(レベル別の洋書)などが格好の教材になるはずです。
これは英語リーディングに限らず、リスニングやスピーキングやライティングなど、すべての勉強に共通していえることです。
【やさしい英語 → 理解できる → 楽しい】というサイクルを回す勉強ができれば、英語力は飛躍的にUPします。
少しずつ教材のレベルを上げていく
英語学習を始めたばかりのころは「やさしく、たくさん」ですが、英語レベルが上がっていけば相対的に難易度は上がっていきます。
本書には、以下のように書かれています。
「やさしい」とは、人により、その時点によりレベルが違います。自分のその時々の実力にとって「やさしい」と感じるレベルのものを選ぶと、教材レベルが自動的に最適なものになります。このレベルはゆるやかに上がっていきます。初級者から見れば、上級者は「難しくたくさん」となるわけです。
僕は最近でこそようやくCNNニュースなどを教材に使えるようになりましたが、それまでは教材選びで失敗を何度も繰り返してきました。
多くの人と同じように「むずかしい英語教材をやったほうが身につく」と考えていたため、自分の英語レベルよりも上回る、難解な教材を平気で買っていました。
しかし「やさしい英語をたくさんやる」という考え方を知ってからは、勉強に対する意識がガラリと変わり、徹底的に「やさしい英語」にこだわるようになりました。
僕の英語学習は音読&シャドーイングと瞬間英作文がメインなのですが、『英会話ぜったい音読』と『瞬間英作文』を使い始めてから、劇的に勉強の成果を実感できるようになりました。
これらの教材は、いずれも内容がやさしく、なおかつシリーズで難易度が上がっていく構成になっています。
つまり、「今の自分にとってやさしい、最適な教材」を見つけやすいということです。こういった教材を見つけることができると、英語学習は継続しやすく、自然と英語力も伸びてくるはずです。
難解な英語参考書はいますぐ手放そう
最初に説明したとおり、「難解な英語を学んだほうが、英語力はUPする」という考えはいますぐ捨てるべきです。
「せっかくお金出して買ったから続けないともったいない…」という気持ちはよくわかりますが、もし難解な参考書や英語アプリに苦戦しているのであれば、いますぐ手放しましょう。
その代わりに「ちょっと簡単かも?」と感じる教材を選ぶようにするべきです。
僕はその意識を持って教材をやさしいものに切り替えただけで、今までの英語学習がガラッと変わりました。勉強が楽しくなり、効果を実感できるようになります。
もちろん、教材は参考書だけではありません。「やさしく、たくさん」という定義に当てはまるのであれば、英語アプリでも全然OKです。
いずれにせよ、英語学習に行き詰まりを感じていたり、そもそも何から始めればいいかわからない人は「やさしい英語教材を選ぶ」という意識だけは強く持ってほしいと思います。