「英語の試験といえば?」という質問で真っ先に挙がってくるのがTOEIC、そして英検です。
結局のところ、TOEICと英検はどっちを受けるべきなのでしょうか?実際に両方の受験を体験してきた僕が正直にお話します。
英検のほうが実用的&難易度が高い
最初に結論からお伝えすると、僕はTOEICよりも英検をおすすめします。どっちを受けるか迷っている人は、英検を受けておけば間違いありません。
ただし、仕事で「TOEICスコアが必要」という人は別です。問答無用でTOEICを受けたほうが昇進や昇給も望めるし、就職や転職の幅も広がります(英検を採用基準にしてる企業は少ない)。
そうではなく「純粋に英語を学びたい」という人の場合、TOEICよりも英検が良いと思います。
僕自身、英検もTOEICも勉強してきたし、受験もしてきました。どちらにも良いところ・悪いところがあるものの、総合的には英検が好きです。
なぜ英検のほうがおすすめなのか?
TOEICよりも英検をおすすめする理由は3つあります。
- ① 英語の4技能を学べる(TOEIC L&Rは2技能のみ)
- ② 勉強内容が楽しい
- ③ TOEICよりも難易度が高い
個人的にはこの3つの要素が大きいと思っていて、これがあるから英検を好んで勉強するようになりました。
というわけで、1つずつ深堀りしていきましょう。
① 英語の4技能を学べる(TOEIC L&Rは2技能のみ)
英検はリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4技能をすべて問われるテストです。
一方、TOEIC L&Rについてはリスニングとリーディングの2技能のみ。ライティングとスピーキングはTOEIC S&Wという別の試験を受ける必要があります。そして、TOEIC S&Wはあまり一般的ではなく、会社の採用基準として使われることも稀です。
結局のところ、仕事や私生活などの実戦の場において、最も必要になる英語力はなにか?というのを考える必要はありますが、英検を勉強しておけば4技能をまんべんなく学べるので不足がありません。
さらに、英検の場合は英語での面接でスピーキング能力を問われるので、文法的に正しい英語をしゃべる練習をすることになります。
TOEIC L&Rはリスニングとリーディングしか鍛えられないので「英語を喋れるようになる」という目標は達成しにくいでしょう。別途TOEIC S&Wを受けるか、オンライン英会話などでスピーキングを磨く必要があります。
このように、英検の勉強をすれば英語の4技能をすべて包含できるので効率的というメリットがあります。
② 英検のほうが勉強内容が楽しい
TOEICはビジネス英語を問う試験ですが、内容はいずれも「実際にビジネスで起こりうるシチュエーション」をもとにした出題です。あえて嫌な言い方をすれば、すべて作り話に過ぎません。
もちろん「たしかにビジネスでこういう英語が必要になることあるよな」と思うことはあるものの、その内容が楽しいか?と言われると、答えにつまります。
結局のところ、TOEICは英語力を身につけるだけの試験なので、内容に学びがないんですよね。あくまでもすべてフィクションなので。
一方の英検はというと、問題の一部にフィクションが含まれるものの、リーディングやリスニングの問題では海外の英語ニュース記事に匹敵するような面白さがあります。わかりやすくいえば、教養が身につくような内容なんですね。
たとえば英検準1級では以下のようなタイトルの問題(長文)が過去に出題されました。
- ・ニュージーランドの害獣駆除
- ・医療における3Dプリンティング
- ・ミニマリズム:「少なく」は本当に「より良い」のか
- ・航空機と病原菌
- ・ポートランドの汚染
といった感じで、硬軟織り交ぜた幅広いジャンルの長文が出題されます。
これらはいずれも実際に起っていることが題材になっているので、現実を反映しているんですね。つまり、ふだんからこういったニュース記事のような教材で勉強ができるから、知的好奇心を刺激されるわけです。
英語の勉強は長期間にわたるので、勉強しながら楽しめるか?というのが非常に重要になってきます。
その点でいうと、TOEICよりも明らかに英検のほうが楽しく勉強ができるはずです。
③ TOEICよりも英検のほうが難易度が高い
「TOEICと英検ってどっちのほうが難易度高いの?」 というのもよく聞かれる質問です。
結論からいうと、TOEICよりも英検のほうが難易度が高いです。
そもそもTOEICは5点刻みの点数方式ですが、英検は合否の判定しかでません(CEFRやCSEスコアなどは測定できます)。
このあたりは、外国語能力の指標として国際的に使われている「CEFR」(セファールと呼ばれたりします)で比較してみるとわかりやすいです。
※表は横スクロールできます
CEFR | ||
---|---|---|
熟練した言語使用者 | C2 | 聞いたり読んだりした、ほぼ全てのものを容易に理解することができる。いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した方法で再構築できる。自然に、流暢かつ正確に自己表現ができる。 |
C1 | いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の、詳細な文章を作ることができる。 | |
自立した言語使用者 | B2 | 自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である。幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる。 |
B1 | 仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる。その言葉が話されている地域にいるときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。身近な話題や個人的に関心のある話題について、筋の通った簡単な文章を作ることができる。 | |
基礎段階の言語使用者 | A2 | ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、単純で直接的な情報交換に応じることができる。 |
A1 | 具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることができる。自分や他人を紹介することができ、住んでいるところや、誰と知り合いであるか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりすることができる。もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助けが得られるならば、簡単なやり取りをすることができる。 |
CEFR | TOEIC L&R / S&W | 英検 | TOEFL iBT | IELTS | TEAP | Cambrige English |
---|---|---|---|---|---|---|
C2 | ー | ー | ー | 8.5-9.0 | ー | CPE(200+) |
C1 | 945〜 / 360 〜 | 1級(2810-3400) | 95-120 | 7.0-8.0 | 400 | CAE(180-199) |
B2 | 785〜 / 310〜 | 準1級(2596-3200) | 72-94 | 5.5-6.5 | 334-399 | FCE(160-179) |
B1 | 550〜 / 240〜 | 2級(1780-2250) | 42-71 | 4.0-5.0 | 226-333 | PET(140-159) |
A2 | 225〜 / 160〜 | 準2級(1635-2100) | ー | 3.0 | 186-225 | KET(120-139) |
A1 | 200〜 / 80〜 | 3級 - 5級(790-1875) | ー | 2.0 | ー | ー |
ここで見るべきは、英検1級とTOEIC990点です。どちらもCEFRの【C1】に分類されるので、一見すると同じような難易度にも思えます。
しかし、英検1級は全体の7割を取れば合格できます。一方のTOEICは990点の95%超である945点以上を取らないとC1に到達しません。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、英検1級のほうが難易度が高いのは事実です。
実際のところ「TOEIC990点だけど、英検1級には合格できなかった」という声もたくさん耳にします。
難易度が高いということは、それだけ価値があるということですが、コスパ的に考えるとTOEIC満点のほうが高いかもしれません。
というのも、世間的にTOEICのハイスコアは高い評価が得られるからです。つまり、ステータス性を重視したいのであれば、英検よりも先にTOEICで900点以上を取ってしまったほうがウマみがあるのも事実です。
英検のデメリットは「教材の少なさ」
個人的にはTOEICよりも英検を推していますが、じつは英検にもデメリットがあります。。
それは、教材の種類が少ないことです。これは、書店の語学書コーナーを見れば一目瞭然です。
TOEICの教材は端から端まで棚が設けられているのに、英検は1列だけ。みたいなパターンが本当に多いんです。
これは、純粋にTOEIC教材のほうが儲かるからだと思います。そもそもTOEICはビジネスパーソンが多く受ける試験だし、社会人は教材にかけるお金もあるんですよね。そもそも、1冊あたりの単価も高い。
そうなってくると、出版社は英検よりTOEICに力を入れようとするので、必然的にTOEIC教材は百花繚乱となります。
英検はすごく良い試験なのに、それが認知されてないんですよね。正確にいうと、英検=学生が受けるものというイメージが根強い。そのせいで、教材の種類が非常に少ないです。
アプリ1つをとっても、英検向けに作られたものは数えるくらいしかありません。一方のTOEICは、スタディサプリENGLISHをはじめとして多くのアプリがリリースされています。
英検で英語力を底上げする勉強方法
TOEICよりも英検を選ぶ最大の理由は、楽しく学びつつ英語の4技能を高めることができるからです。
では、実際に英検の勉強はどのように進めればいいのでしょうか?
結論としては、音読&シャドーイング+口頭英作文がおすすめです。
さきほど説明したとおり、英検はリスニング・リーディング・スピーキング・ライティングの4つをバランスよく勉強していく必要があります。
すべてを個別に学ぶ方法もありますが、それだと教材も増えて大変です。
そこでおすすめなのが、音読教材と英作文教材の2冊体制で望むこと。音読&シャドーイング+口頭英作文をやっていけば、リスニング・リーディング・スピーキング・ライティングをバランス良く伸ばすことができます。
音読&シャドーイングでリーディング・リスニングを鍛えて、口頭英作文ではスピーキングとライティングを鍛えることができます。厳密にはライティングだけ別の対策が必要ですが、口頭英作文をすることでライティングスキルも養うことが可能です。
英検の何級を受けるかによって使う教材は変わってきますが、僕が使ってきたのは以下のような教材です。
- 僕が英検対策に使ってきた教材
- ・『速聴速読英単語 Core1900』
- ・『上級英単語 LOGOPHILIA』
- ・『NOBU式トレーニング 話すための中学英語』
- ・『足すだけ英会話トレーニング』