TOEICの必要性については賛否両論あると思います。僕は「どちらかといえば賛成派」でして、定期的に受験しています。
たしかにTOEICには「受験料が高すぎる」というデメリットもあるけど、英語学習を継続するうえでは役に立つことも多いのかなと。
というわけで今回は、TOEICの必要性はどこにあるのか?良いところ・悪いところについて考えつつ、TOEICをやる意味について解説していきたいと思います。
一般的なメリットは、スコアによる恩恵
TOEICを受ける大半の人は、スコアが目的のはず。仕事の昇進・昇進や転職では、TOEICスコアが有利にはたらくことが多々ありますよね。もちろん、条件によって差はあるものの900点を超えてくると、かなり可能性は広がります。
あるいは大学生の場合、TOEICのスコアによって英語の成績が決まる場合もありますよね(僕の大学時代はそうでした)。
TOEICスコアは簡単には伸びないのですが「スコアを取るだけでわかりやすい恩恵が受けられる」というのはメリットだと思います。
特に「待遇UP、収入UP」という美味しいエサがはっきりと提供されている場合、TOEICへのモチベーションは高まりますし、良くも悪くも「スコアさえ取ればいい」というわかりやすさがあります。
仕事で成果を出すのって意外とむずかしかったりしますよね。仕事の評価って売り上げだけじゃなくて、人柄や社交性(上司に気に入られる人間性)も重要だったりするので。
ただ、人柄や社交性って簡単に身につくものじゃないし、生まれ持った才能みたいなものが大きなウェイトを占めると思います。
でも、TOEICなら極論「スコアを取るだけでいい」わけです。そういった意味では、対人スキルが苦手な人にとってはより必要性の高い、美味しい試験なのかなと思ったりします。
ちょっと悲観的な考え方に思われるかもしれませんが「人間力で勝てないなら、せめてTOEICで…」という意識を持つのも決して悪くないのかなと。後ろ向きのように思えますが、これも「立派なキャリア戦略」と考えることもできます。
TOEICはちゃんと点数で成績がわかるのもいいし、その点数は仕事や転職でも活かせます。「せっかくスコアをとっても、何の役にも立たない」という語学試験より明らかにモチベーションになりますよね。
実際、仕事を辞めたりクビになったりした人が、「TOEIC900点以上を取って新しいキャリアをスタートさせて昇給した」という話はよく見聞きします。TOEICという武器があれば、今の仕事がまったくの畑違いだとしても「外資系に転職して一発逆転…!」ということが現実的なわけです。
語学関連の求人情報を見てもらうとわかりますが、たいていの会社が「TOEICスコア◯◯◯点以上が望ましい」という感じで要件を掲載しているんですよね。英検を応募要件にしている会社はかなり少数派だと思います。
英語上達の目安としてTOEICを活用
TOEICを英語上達の目安として活用する人も多いと思います。僕もその一人です。
TOEICは日本における語学試験の中では知名度もダントツで高いので、1番都合が良い資格だと思います。英検も知名度こそ高いですが、社会人に限っていえばTOEICのほうが受験者数が断然多いです(TOEICは約230万人、英検は約55万人。数字はいずれも2021年度)。
TOEICはほぼ毎月受験できるので、力試しができる機会が多いというのも嬉しいポイント。「試験でミスして悔しいから、すぐにでも受けたい!」という人にとってはありがたいところ。
「力試しをしたい」「上達を実感したい」「いまは英語を関係ない仕事してるけど、いつかは…」という人にとって、TOEICは必要性のある試験だと僕は思います。
TOEICはスコアがハッキリ出るので「前回よりも成績が伸びたのか?」というのが目に見えてわかります。スコアが上がればもっと意欲的になれますし、下がってしまったらその原因を見つけて改善につなげることができますよね。
TOEICなどの試験を受けずに、ただ英語の勉強を継続するのはなかなかシンドいと思います。というのも、目標がハッキリしないし、英語力が上がっているのか下がっているのかわかりづらいからです。
英語学習の客観的な指標としてTOEICを活用することで、
- ・自分の英語力は上がっているのか
- ・このままの勉強法で正しいのか
といったポイントがより明確になります。効率的に英語力UPが望めるので、最短で英語力を上げたい人にとってもTOEICはおすすめです。
英検よりもTOEICのほうが教材が豊富
英語を勉強するうえで、自分に合う教材があるかどうかは非常に重要です。その点、TOEICは教材が豊富なので選択肢がたくさんあります。つまり、自分に合う教材を見つけやすいということです。
英検よりもTOEICのほうがビジネスパーソンの受験者が多いせいもあって、教材が豊富です。
英検は旺文社の1強という感じですが、TOEICについてはいろんな出版社が出しているので、バラエティに富んでいます。
教材をつくる出版社や企業も、「TOEIC対策向けに作ったほうが儲かるから…」という理由があるのかもしれませんが。
また、英語アプリについても同じことがいえます。英検とTOEICを比較したとき、圧倒的にTOEIC対策アプリのほうが多いです。
スタディサプリENGLISHは3つのコースに分かれていますが、ちゃんとTOEIC対策に特化したコースが用意されています(英検対策コースがないのは少しさびしい)。
僕自身、スタディサプリENGLISHのTOEIC対策コースを日常的に使っていまして、おかげでスコアも大幅に伸びました。
最大の欠点は「勉強がつまらないこと」
僕が思うTOEICの最大の欠点は「勉強してても楽しくない」ということです。
「そもそも英語の勉強なんて楽しいものじゃない」という意見もありそうですが、英語の勉強は教材を工夫すれば意外と楽しめます。さらにいうと、英検の勉強はけっこう楽しいです。
たとえばニュース英語。これだと、英語を学びながら教養を身につけることができるので、やってて楽しいんですよね。なんというか、知識欲が満たされる感じが大いにあるので。
しかし、TOEICは「ビジネスでよくありそうなシチュエーション」を問題にしているので、あくまでもフィクションです。架空の会社の架空の人物が出てくるだけなので、面白みは一切ありません。
TOEICという試験はそもそもビジネスで使える英語を身につけることを目的としているので仕方ないのですが、それにしても勉強(教材)の面白みに欠けます。
「TOEICスコアがすぐに必要なわけではない」という人はTOEICではなく、英検の勉強をしたほうが楽しめると思います。あるいは、市販の教材で音読やシャドーイングをするのがおすすめです。
「教材の楽しさ、面白さを第一優先にしたい」という人は、TOEIC対策とは無関係の英語教材でも良いと思います。TOEIC対策には直接役立つわけではありませんが、他の教材であっても英語力向上にはつながるので。
受験料は高すぎるけど、昇給が見込めるなら…
TOEICでもう一つマイナスを挙げるのであれば、受験料の高さがあります。これについては他の語学試験(英検やTOEFL)も高いので、TOEICだけが悪いわけではありません。
とはいえ、受験のたびに7,810円(税込)かかるのは痛いですよね。リピート受験割引でも7,150円(税込)なので、決して安い金額ではありません。会社が受験料を負担してくれるのであれば関係ない話ですが、個人が毎月受験しようと思えば年間で70,000円を超える出費が発生することになります。
もちろん、スコアをしっかり取ればそのぶん見返り(昇進・昇給)があるわけなので、考え方によっては良い投資とも言えますが、単純な金額として受験料を考えるのであれば少々高すぎる気もします。
また、TOEICの受験料は年々値上げしているので、今後も高くなる可能性は十分あります。というか、定期的に値上げになるのは間違いないでしょう。
なぜTOEICの受験料は値上げされてしまうのでしょうか?考えられる要因はいくつかありますが、
- ・新型コロナウイルスで密を避けるために会場が多く必要
- ・消毒や検温などの費用がかかる
- ・物価上昇にともなう、人件費の上昇
といったことが上げられます。もちろん、TOEICが恣意的に料金を上げる可能性もゼロではないと思いますが、多少値上げしたとしても、日本国内でのTOEICの地位は高い状態が続くはずです。
「自分にとってTOEICの必要性は低い」と考えるのであれば、無理に受ける必要はまったくないと思います。それよりも、他の英語教材やオンライン英会話に投資したほうが見返りは大きいはずなので。
TOEICのオンライン受験。短時間で安く
ちなみに、TOEICには試験会場まで足を運ぶ公開テストとは別に、自宅でオンライン受験できるIPテストというものがあります。
TOEICのIPテストは履歴書にもスコアが書ける、れっきとしたTOEICの試験です。
自宅で受けられるうえに、試験時間も約半分と短縮されています。受験料は4,230円(税込)なので、公開テストの受験料よりも安く抑えられています。
「公開テストの受験料が高すぎて手が出ない」「試験会場まで行くのがダルすぎる」という人は、IPテストを検討してみるといいかもしれません。
スコア不要なら、年1回のちからだめしで
会社や学校でTOEICスコアが必要な人は別ですが、単純に力だめしで受験するのであれば年1回程度で十分かなと僕は思っています。
毎日8時間勉強するとか、濃密な勉強プランを遂行できる人は別ですが、そもそもTOEICのスコアはそんな簡単に上がりません。
がんばって毎月受験してもスコアは上がらないどころか、下がることも考えられます(試験ごとに微妙に難易度がちがうことがあるし、年々難化してる)。そうなると、せっかく高いお金と時間を割いたのに、スコアだけ下がるという残念な結果しか残りません。これはメンタル的にかなりツラいです。
それなら無理に回数を増やすのではなく、「年1回の行事」としてTOEICを捉えるのがいいかなと思っています。年1回であれば、ほぼ確実にスコアは上がってる(むしろ上がってないとヤバい)ので、成長もしっかり実感できます。
また、TOEICは1度受験をすると、1年後の同月から3ヵ月間はリピート割引が効くので少し安く受験ができます。こういった制度も、年1回受験を後押ししてくれるかなと思います。
TOEICをやる意味は本当にあるのか?
あらためておさらいすると、僕もTOEICの受験料は高すぎると思います。もちろん、いち消費者からの目線にすぎないので、TOEICの運営側からすれば妥当な料金なのかもしれません。
受験料が高いと感じているのに、なぜわざわざTOEICを受験するのか?その理由は3つです。
- TOEICをやる意味
- ① 国内でのTOEICスコアの有用性は高いから
- ② 英語学習の上達の目安として使いやすいから
- ③ 教材の種類が豊富で、選択肢が多いから
僕がTOEICを受験するのは、上記の3つがあるからです。
反対にいうと、TOEICの受験料の高さだけが目についてしまい、それ以外のメリットを感じられないのであれば無理にTOEICを受験する必要はないと思います。
たとえば、英語学習の上達度を測りたいのであれば、TOEICに限らず英検やIELTSやVERSANTといった選択肢もあります。
自分にとって、TOEICを受ける価値はあるのか?というのを冷静に考えて、良し悪しを判断したいところです。